国内放送事情

連続インタビュー 動くか、日本の映像コンテンツ①

「テレビ局がハリウッド」

フジテレビ映画事業局長 亀山千広氏

いま政府は日本のコンテンツ大国化と情報・文化の世界への発信をめざし、インターネットを流れたりDVDの形で流通するデジタルコンテンツ、とりわけ映像コンテンツの振興を計っている。国内で最も集客力のある地上波放送番組、世界に名高いアニメ、そして映画…日本では映像コンテンツの制作、流通の多くをテレビ局が握っているが、ネットへの配信に消極的で流通促進に後ろ向きと評価され、著作権法などの改正もふくむ「改革」が提言されている。このシリーズでは、ブロードバンドが急速に普及し映像コンテンツへの思惑が交錯する中、制作現場の最前線のプレイヤーたちに連続してインタビューし、生産と流通の実態を明らかにする。

第1回はフジテレビ映画事業局長の亀山千広氏。「いずれ広告収入は頭打ちになる」と早くから番組のマルチユースなどソフト開発の意識が高かったフジテレビでは、1983年「南極物語」の成功を機に映画制作を本格化、90年代以降は亀山氏の手がけた「踊る大捜査線シリーズ」「電車男」「海猿」など放送番組から映画が生まれたり、映画と番組が後先しながら共にヒットする企画が相継いでいる。

亀山氏は成功の秘訣は「家族で安心して見られるコンテンツ」に徹底して拘わったブランド戦略にあったとする。その一方で「テレビ、映画、ネットなどそれぞれのメディアの特性にあったコンテンツを作るべきで、番組や映画をそのままネットに流しても仕方ない」と主張する。そこにはコンテンツを制作するハリウッドの映画会社が地上波テレビもケーブルテレビもネット企業も傘下におくアメリカと違い、テレビ局自身がコンテンツを作り、テレビという伝送路を中心にウィンドウ戦略を進めてきた日本に特徴的な産業構造が浮かび上がる。

主任研究員 七沢 潔