番組研究

デジタル時代の教育とメディア②

幼稚園・保育所におけるメディア利用の現況と今後の展望

~2006年度NHK幼児向け放送利用状況調査を中心に~

NHK放送文化研究所では,1950年以来「学校放送利用状況調査」を実施しています。ちょうど50年前となる1957年からは,調査の対象に幼稚園と保育所も含めて,全国の保育現場における放送番組の利用実態や番組に対する意向,新しいメディアの普及・利用実態や関心などを調べてきました。幼児を取り巻く環境の変容に目を向けて,時代の要請に応える新しい番組の開発や編成に役立てるねらいで,様々な観点から分析を続けています。

2006年度調査の結果からは、例えば、保育者自身のパソコン・インターネット利用が急速に増え、保育情報の入手などに役立てている反面、幼児がパソコンに触れることに対する慎重な姿勢が強まる傾向がみられます。保育の内容を豊かにするために、積極的に放送やパソコンを利用している幼稚園や保育所もありますが、幼児期の直接体験を重視する教育要領や保育指針の影響、さらには、乳幼児期のテレビ、ビデオ、ゲーム等のメディアとの接触を否定的にとらえる近年の社会的風潮も加わって、全体としては、教育目的であっても、幼児にテレビを見せたり、パソコンに触れさせることに対する、消極的な姿勢がみられます。

ラジオ時代も含めて、学校放送・幼児向け放送には70年を超える歴史がありますが、幼児向け教育番組が、それぞれ、幼児の現実社会での活動や生活を豊かにするねらいで制作されていることやその教育効果を改めて理解したうえで、効果的な利用を検討することが重要と思われます。また、保育の専門家による指導が可能な、幼稚園や保育所での番組集団視聴やパソコンの活用は、家庭では必ずしも十分とはいえない幼児期のメディア・リテラシー(メディアとの好ましい関わり方)の育成にとっても大きな役割を持ち合わせている点にも、注目する必要があるといえます。

  1. 幼児向けテレビ番組50年の変遷
  2. 幼稚園・保育所における放送利用の現況
  3. 定着したビデオの利用
  4. 幼稚園・保育所におけるパソコン利用の位置づけ
  5. 幼稚園・保育所におけるメディア観と今後の展望

主任研究員 小平さち子