番組研究

70歳代・80歳代の高齢者はどのようにドラマを見ているか?

~アンケート・ヒアリング調査結果~

高齢化が進む日本の高齢者の、ドラマなどのテレビ番組ニーズを、最近の積極的なライフスタイルと絡めて分析・考察しました。

最近の高齢化社会においては、テレビ視聴が生活を占めるだけに、高齢視聴者をいかにつかむかが重要です。従来のイメージではない高齢者のライフスタイルも含め、ドラマなどのテレビ番組へのニーズをつかむべく、予備調査として、アンケート・ヒアリング調査を実施しました。 対象高齢者のライフスタイルは、共に積極的な「外出行動型」と「メディア利用型」が多数派でした。

また、対象高齢者を好きなテレビ番組ジャンルで分類し、更にライフスタイルのタイプ別で見ますと、「ドラマ番組」が好きな人は「外出行動型」が多く、「報道番組」が好きな人は「メディア利用型」が多かったです。

そして、対象高齢者の好きなテレビ番組ジャンルの選び方を、その特色から数量化3類を用いて分析しました。「報道番組」などは、社会派の、実生活をとらえた、テンポの速い番組として好かれており、「ドラマ番組」などは、娯楽性が強く、非日常性を描いた、ゆったりとしたテンポの番組として好かれている事が分かりました。

更に、ドラマ番組について細かく見ると、ほとんどの高齢者がテレビドラマを週に2,3本、集中視聴で見ていて、台詞の伝え方、言葉使いや演出・構成などの分かりやすさ・見やすさ、俳優の充分な演技力に重点を置いています。

調査結果から、高齢者のドラマ視聴ニーズとは、「心の機微をしっかり描いた、古い時代が舞台のドラマ」であるとつかみました。

更に、ドラマの視聴率データでは数字が高くなるケースが余りない男性高齢者に絞っての考察・分析から、今の高齢者は、ゆったりしたものではなく、退職後も外に出るなどの積極性から、中味の充実した超大作「歴史ドラマ」を好むことも傾向の一つでありました。

今の高齢者は、決してお気楽にドラマを見ている訳ではなく、ドラマ番組を選ぶ基準の目が厳しいようです。

放送研究 田口惠一