ことばウラ・オモテ

擬音語・擬態語

外国人が日本語を習い始めてとまどうのは、擬音語や擬態語の種類の多さと、使う場面にふさわしいものを選ぶことの難しさです。

日本語にはどのくらいの種類の擬音語や擬態語があるかと思い、専門の辞典を見ますと、2,000語ぐらいありました。

ワープロなどで使う、かな漢字変換の辞書には1,700語程度の形容詞がありますから、一般的に使う形容詞より擬音語・擬態語の数が多いことがわかります。

擬音語・擬態語は4文字(4拍)のものが多く、その大部分は2つの音を2回繰り返しています。たとえば、「コロコロ転がる」は「コロ」を2回繰り返しています。

また、清音と濁音のペアというものも多く「コロコロ」と「ゴロゴロ」、「スルスル」と「ズルズル」、「トロトロ」と「ドロドロ」などは誰でもすぐに思い浮かびます。

中にはペアにならないものもあり「テラテラ脂ぎった」はありますが、「デラデラ」は普通は使われません。

清音と濁音の違いは、一般的に清音のほうが動作や状態が小さく滑らかで、濁音が表す状態は大きかったり、粗雑だったりすることが多いものです。(例:トントンとたたく―ドンドンとたたく)

擬音語・擬態語は形容のしかたによってはアクセントが変わることがあります。
「ツルツルと滑る」は頭高(あたまだか)で一番初めの「ツ」のあとで下がります。
「ツルツルになる」では平板アクセントになります。形容動詞的な使い方では頭高、副詞的に使われる場合には平板アクセントが多く見られます。
外国人にとってはこの使い分けが難しく感じられるようです。

現代日本文化の1つとしてあげられる「コミック文化」の漫画・劇画を見ると、画面(コマ)の中に擬音語・擬態語が豊富に使われているのがわかります。

なかには辞典に出ていない新しい擬音語もあります。「あ」に濁音記号を付けた悲鳴や、今ではことばの市民権を得た銃声の「ズキューン」「バキューン」など音の組み合わせの数ほどあるかと思われるほどの賑やかさです。

しかし、これらの漫画・劇画がアニメーションになると、とたんに画面から擬態語が消えていきます。擬音語は効果音で置き換えられることもありますがこちらの数も少なくなる傾向があります。

冷や汗をかく「タラッ」、感動を表す「ガーン!」などは消え去ります。
静止画の漫画・劇画では背景に擬音語・擬態語があっても、動画ではなじまないということのようです。

最近、登場人物が話した内容などの文字情報がテレビ画面に多く出てきますが、擬音語・擬態語の文字はあまり見ません。作為的すぎるからでしょうか。

逆に、映像を静止画的に使ったり、作為的な演出をしたりする場合には、画面に文字を使うことがあるかもしれません。

同じ動画の世界であるテレビの画面は、映画とは文字情報の多寡で区別できるかもしれません。演出として、背景から登場人物、小道具まで計算して作る、いわばどこにもない空間を表現する映画と、ありのままの世界を映そうとするテレビと、映像としては似ていますが本質が違うようです。ところが、文字情報になると、逆にテレビの作為性が際だってきます。

話しことばの日本語に多い擬音語・擬態語はこれからどのように映像と調和していくのか楽しみでもあります。

(メディア研究部・放送用語 柴田 実)