最近気になる放送用語

「発覚」の使い方

「検査をして病気が発覚した」という言い方は、おかしいのでしょうか。

グレーゾーンです。「発覚」は、もともと「よくないことと知りながら、わざと隠していたことが、ばれてしまうこと」という意味です。「検査をして病気が見つかった」と言えば済む場合が多いのではないでしょうか。

解説

「発覚」の「発」という漢字は、むかしは「(秘密を)発く」と書いて「あばく」と訓読みをしていたことがありました(現代では「(秘密を)暴く」と書くのが一般的です)。「発」の字が「隠されているものを表に出す」という意味で用いられている例は、いくつかの漢字熟語にあります。

 告:犯罪などの事実を、さらけ出すこと。

 摘:よくないおこないを、あばき出すこと。

 掘:埋まっているものごとを、掘り起こすこと。

お尋ねの「発覚」は、「よくないことと知りながら、わざと隠していたこと」に対して使うという習慣が、長く続いてきています。「病気」は「よくないこと」なので部分的には条件を満たしているのですが、「(その存在を知っていて)わざと隠していた」わけではないので、あまりふさわしい言い方ではないということになります。

これについて、ウェブ上でアンケートをおこなってみました。「A:診察を受けて、胃かいようが【発覚】した」「B:隠していた悪事が【発覚】した」という2つの文について、正しいと思うかどうかを尋ねたところ、全体としてもっとも多かったのは「B(悪事)は正しいが、A(胃かいよう)はおかしい」という回答でした。しかし若い人の間ではこの答えの割合が少なくなっていて、「どちらも正しい」や「A(胃かいよう)は正しいが、B(悪事)はおかしい」というものも、ある程度選ばれるようになっています。

また、「○○との熱愛が発覚」「一般男性との交際が発覚しました」という使い方も現代ではなされていますが、あまり感心しません。そうした事実は「わざと隠していたこと」なのかもしれませんが、別に「よくないこと」ではないからです。などと上から目線で語り続けていると、私の底の浅さが発覚してしまうかもしれないので、このあたりでやめておきます。

(NHK放送文化研究所ウェブアンケート、2013年6月~7月実施、877人回答)

(メディア研究部・放送用語 塩田雄大)