最近気になる放送用語

「効果が高い」? 「効果が大きい」?

「(その治療法は)効果が高い」という言い方は、おかしいのでしょうか。

現状では、「効果が大きい」という言い方のほうが一般的です。ですが、若い人を中心として「効果が高い」がふさわしいという考えが増えており、今後はこちらのほうが主流になることも考えられます。

解説

あるものごとの「度合いのはなはだしさ」を示す役割を持った形容詞は、「大きい・高い・厚い・多い」など、いくつかあります。どの形容詞を使うのがふさわしいかは、名詞の意味上の性質などによって、変わってきます。しかし、「この名詞の場合には絶対にこの形容詞がいい(ほかの形容詞を使ったらダメだ)」ということは、なかなか簡単には言えない場合がほとんどです。

ウェブ上でおこなったアンケートの結果では、全体としては「効果が大きい」を支持する人が多いことがわかりました。ただし年代別にみると、30代以下では、「効果が大きい」と「効果が高い」の割合は、ほとんど同じ程度です。ここから、「効果が大きい」から「効果が高い」への変化が生じつつあると考えることができます。(一方で不思議なことに、反対の意味をあらわす「効果が小さい低い」などについては、今回のアンケートの結果では、特定の言い方に集中してゆくような動きが見られません。)

実は、最近の日本語で「度合いのはなはだしさ」を表すのに「高い」がよく使われるようになっているという現象は、「効果(が)」以外にも起こっていることがわかっています。戦後60年間の国会会議録の発言を分析したある研究の結果では、「○○性・○○率・○○度(が)」などの名詞に「高い」が付く比率が、年を追うごとに高くなっていました。

なぜ「効果が高い」がよく使われるようになってきているのかは、今のところよくわかっていません。「高価」だから「高い」のかもしれませんね。失礼。

 

*服部匡(2011)「程度的な側面を持つ名詞とそれを量る形容詞類との共起関係-通時的研究-」『言語研究』140

(NHK放送文化研究所ウェブアンケート、2008年2月~3月実施、1339人回答)

(メディア研究部・放送用語 塩田雄大)