最近気になる放送用語

「うし」? 「ぎゅう」?

「牛のレバー」は、どう読んだらよいのでしょうか。

食べものとして意識した場合には、「ぎゅうのレバー」という言い方がどちらかというと一般的です。

解説

「生きもの」としてとらえるときと「食べもの」として扱うときで、単語を区別する傾向のあるものが、ときどきあります。

魚の「鮭」は、海や川を泳いでいるときには「さけ」、焼いて食卓に上った時には「しゃけ」というように呼び分けることがあります。

「鶏」は、動物としては「にわとり」ですが、それを食べるときには「かしわ」と呼ぶ習慣が、西日本に広く見られます。

「豚」は、今では生きものと食べものとで言い分けませんが、かつて東京では「豚肉」のことを「とんにく」と言っていました。なお、「豚汁」のことを「とんじる」と言う人は東日本(北海道除く)に多いのですが、「とんにく」を入れたものだから「とんじる」なのだという発想があったのかもしれません。

今回の「牛のレバー」についてウェブ上でアンケートをおこなってみたところ、「〔ぎゅうのレバー〕という言い方しか聞いたことがない」(20%)と「両方とも聞いたことがあるが、どちらかといえば〔ぎゅうのレバー〕のほうが多い」(47%)を合わせた【ぎゅう支持派】は67%になりました。この【ぎゅう支持派】は、40代以上で特に多く見られます。このようなことばの使い分けは、ある程度人生経験を積んでから覚えるものなのかもしれません。

総合テレビ「純と愛」(2012年10月12日(金)放送分)で、次のようなシーンがありました。

  〔純〕 あの牛【うし】、うまかったな~。

  〔水野〕(少し笑いながら)ステーキね。

ステーキのような食べものを「うし」と呼ぶと変な感じがするという日本語の特性が、うまく生かされたやりとりです。

ここまで読んでくださった方は、「うし」と「ぎゅう」の使い分けについては、モー大丈夫だと思います。

「牛のレバー」の読み方は、うし?ぎゅう?:(NHK放送文化研究所ウェブアンケート、2012年7月~8月実施、343人回答)

(メディア研究部・放送用語 塩田雄大)