「絶不調」?
2012.02.01
「絶不調」ということばは、どう発音したらよいのでしょうか。
これは比較的新しいことばで、場合によっては放送にはなじまないと感じる人もいます。まず、言いかえられないかどうかを一度考えてみたほうがよいでしょう。それでも使う必要のある方には、若い人になるほど「ゼツフチョー」よりも「ゼッフチョー」という言い方を好む傾向があるということをお伝えしておきます。
解説
まず、「ゼツ(絶)」がことばの頭の部分に付いた場合の音の変化について、『NHK発音アクセント辞典』に出ている単語(二字漢語)を例に考えてみましょう。
〔ゼツのまま〕 | うしろがア行(絶縁)、マ行(絶妙、絶無、絶命、絶滅)、ラ行(絶倫)、ガ行([空前]絶後)、ダ行(絶代、絶大)、バ行(絶望)のことば |
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〔ゼッとなる〕 | うしろがカ行( |
ハ行のことばは、前が「ゼッ」となるのに加えて、後ろも「パン、ピツ、ピン、ペキ」のように変化しています。同じハ行のことばである「不調」も、ここから考えると「ゼップチョー」となりそうなものですが、実際にはそうなりません。それは、「絶/不調」のような「ことばの切れ目」があるからです。
「ことばの切れ目」がある場合には、音の変化はないのがふつうです。ところが、「絶好調」ということばは「ゼッコーチョー」ですでに定着しており、ここからの連想で「ゼッフチョー」という言い方がかなり多くなっているのです。
ウェブサイト上でアンケートをした結果では、若くなるほど「ゼッフチョー」が多くなっていることがわかりました。
いつもこのコーナーでは、皆さんを抱腹絶倒させたいと思ってオチを考えているのですが、度が過ぎて拒絶反応を示されても困るので、今回はこのへんでやめにしておきます。