「降らなそうだ」? 「降らなさそうだ」?
2011.02.01
「降りそうだ」を否定の形にした言い方は、「降らなそうだ」と「降らなさそうだ」のどちらが正しいのでしょうか。
伝統的には、「降りそうにない」という言い方をするか、あるいは「降らなそうだ」のように「さ」の入らない形のほうがふつうだとされてきました。しかし実際には「降らなさそうだ」のほうがふさわしいと考える人も多く、両方とも正しいと考えるのが現状に合っているように思います。
解説
「~なそうだ」と「~なさそうだ」のどちらがふさわしい形なのかについては、用法によって異なります。だいたい、次のような傾向があります。
- ①「ありなし【存在・非存在】」に関する場合
⇒「(問題は)なさそうだ」のように「さ」が入る - ②形容詞の否定の場合
⇒「(寒く)なさそうだ」のように「さ」が入る - ③動詞の否定の場合
⇒「(降ら)なそうだ」のように「さ」が入らない - ④外見上「ない」の形だが否定の用法ではないもの(「危ない、少ない、汚い」など)
⇒「(あぶ)なそうだ」のように「さ」が入らない
ただし、③と④については以前から「~なさそうだ」の形もある程度併用されていました。
「降らなそうだ」と「降らなさそうだ」について、インターネット上でアンケートをしてみました。すると特に西日本を中心として、伝統的な形である「降らなそうだ」よりも「降らなさそうだ」のほうを支持する意見が多く見られました。この結果からみても、動詞の否定の場合に、「~なそうだ」だけでなく「~なさそうだ」を用いてもかまわないように考えられます。
なお、「(本が)つまらない」は語源としては「動詞の否定」なのですが、「本がつまる」という言い方はふつうしません。つまり「つまらない」で一語であると考えられ、分類としては④に近いものです。この場合、「さ」の入った「つまらなさそうだ」の支持率がかなり下がることも、同じアンケートの結果からわかっています。言い方のふさわしさは語によって異なり、まだまだ問題は尽きな(さ)そうです。
