最近気になる放送用語

「真っ茶色」? ~「色」の表現について~

「真っ茶色」という言い方は、おかしいのでしょうか。

おかしな表現だとまでは言えないでしょうが、現時点では違和感を覚える人が多いことは事実です。コメントをきちんと準備して制作する番組などでは、避けておいたほうがよいかもしれません。

解説

まず、「真(ま)~」ということばは、「純粋に・正確に」といった意味です(真冬・真東など)。色の名前に「真~」が付く場合には、次のようなものが一般的です。

真っ白/真っ黒/真っ青(さお)/真っ赤/真っ黄(色)

この「白・黒・青・赤・黄」は「色を表す専用のことば」で、なおかつ色彩として基本的なものです。こうしたものには、「純粋な」といった意味の「真~」が付いてもまったく問題ありません。

これに対して「茶色/緑色/紫色」などは、「『お茶』の色/草木の『緑』の色/植物の『紫』の色」といったように、植物などの呼び名を借りたもので、また色彩としては必ずしも基本的なものではありません。実在する物の呼び名を「~色」という形で借りる方法を使うと、「チョコレート色/コーラ色」など、さまざまな言い方を作ることができます。こうしたものには、「真~」は付きにくいのです。

ただし「真っ茶色」は、実際にはよく使われているように思います。放送文化研究所でおこなったウェブ上のアンケートでは、若い年代では「真っ茶色はおかしい」という回答が少なくなっていました(2009年3~4月実施、850人回答)。「真っ茶色」は、今後は抵抗なく受け入れられることばになってゆくかもしれません。

「真っ茶色」は判断に迷う例ですが、「真緑/真紫/真っピンク」となるにつれて、抵抗感が強くなってゆくような気がします。将来は、「真グレー/真っコバルトブルー」といった言い方も出てくるのでしょうか。

「真っ黄色」「真っ茶色」は・・・(アンケート)

(メディア研究部・放送用語 塩田雄大)