「メアド」? 「メルアド」? 「アドレス」?
2008.08.01
「メールアドレス」ということばを略して表したいのですが、「メアド」「メルアド」「アドレス」などのうち、どれを使ったらよいのでしょうか。
「メアド」「メルアド」は一般にもよく用いられていますが、ややくだけ(すぎ)た印象を与えます。略す場合には、放送では「アドレス」がよいでしょう。
解説
「メールアドレス」ということばは、使われ始めてからそれほど年月がたっているわけではないのですが、メールのやりとりをする習慣が急速に広まり、このことばを略して使いたいという人が多くなって、さまざまな略語形が生まれています。そのうちよく使われているものとして「メアド」「メルアド」および「アドレス」があります。そして、これらに関して「どのような場で使うべきか」という使い分け意識のようなものが出てきているようです。
まず、個人的にはどの言い方を使うのか、ということの実態について見てみます。NHK放送文化研究所では、「『メールアドレス』ということばを略して何と言うか(複数回答)」について、ウェブ上でのアンケートをおこないました(2006年1月~2月実施、3,112人回答)。その結果、①「メルアド」 51%、②「メアド」41%、③「アドレス」37%となりました。そして各年代ごとにもっともよく使われているものを見てみると、10代・20代では「メアド」、30代・40代・50代では「メルアド」、60歳以上では「アドレス」といったようになっています。
いっぽう、ウェブサイトでの使われ方を見てみると、「メアド」「メルアド」は非常によく使われているのですが、中でもブログで使われる率が高く、逆に公的なサイト(政府関連のgo.jpが付いたサイトなど)ではほとんど用いられていないことがわかりました。
ここから、「『メアド』『メルアド』はブログなどの個人的使用には問題がないけれども、公的な場面での使用はあまりふさわしくない」といったような使い分けの流れが、いつのまにか形成されていることが予想されます。
いつもはTシャツで過ごしている人でも、面接などのときには少なくとも襟付きのシャツぐらいは着るのではないでしょうか。これと同じように、ふだん「メアド」「メルアド」という言い方をすることには問題がなくても、公的な場面でのことばづかいには、あらためて気を配る必要があるでしょう。