最近気になる放送用語

マナー? エチケット?

「マナー」ということばと「エチケット」ということばとは、どのように使い分けたらよいのでしょうか。

「マナー」と「エチケット」とは、意味の上で重なり合うところの多いことばです。これらは外来語として日本語に取り入れられたことばです。現代の日本語で使われている状況を観察してみると、「マナー」はどちらかというと「社会・集団」を意識した場合に用いられているのに対して、「エチケット」は「相手・個人」を意識した場合に使われている傾向があると言えそうです。

まず「マナー」ということばは、社会・集団全体として気持ちよく過ごせるような行動の取り方だと言うことができます。たとえば「交通マナー」という言い方があります。これは、「交通ルール」のように違反したら罰せられるものではありませんが、「交通マナー」を守ることによって、歩行者と車の双方が全体として円滑に過ごすことができるようになります。「喫煙マナー」「(携帯電話の)マナーモード」なども、これと同じたぐいのものです。また「テーブルマナー」のように、そうすることが望ましいとされている「作法」のようなものを言い表す場合もあります。

一方「エチケット」ということばは、いま目の前にいる相手が不快な気分にならないようにする「気配り」の実践のことだと言えます。最近のことばでは「ネチケット」という言い方がありますが、これはネット上のメールや電子掲示板などを見た人が不快な気持ちにならないようにすることを言い表したものです。また、「咳(せき)エチケット」(咳が出るときには口に手を当てたりマスクをしたりすること)のように、おもに衛生的なものにかかわる場合にもよく使われます。

昔のフランス宮廷では、宮中の壁に訪問者のとるべき行動を指示した札が貼られており、この札のことを「エチケット」と呼んでいました(『外来語の語源』角川書店)。このことばが、英語を経て明治のころに日本語に取り入れられ、その後現在のように「相手・個人」を意識したような日本独自の用法になったものだと言えそうです。

(メディア研究部・放送用語 塩田雄大)