最近気になる放送用語

未明?

ニュースで「午前0時すぎ」のことを「未明」と言っているのを聞きます。自分が考える時間とズレがあるように思います。

放送では,「午前0時~3時ごろ」を指すときにも「未明」を使う場合があります。ただし,この使い方をおかしいと感じる人がいることも知っておいたほうが良いでしょう。

解説

「未明」は「夜がまだすっかり明けきらないころ」のことで,「午前3時ごろ~日の出前後」のまだ暗い時間帯を表すことばですが、放送では、広く「午前0時~3時ごろ」も含めて言う場合があります。

なぜ、「午前0時~3時ごろ」を言うのにも「未明」を使うのでしょうか。この時間帯を、「夜中」「深夜」で表現したらどうでしょうか。「夜中」「深夜」には「夜の遅い時間全体」を指すイメージがあります。また,いずれのことばも午前0時より前の時間を指して使うことがあります。全国調査でも,「夜中」「深夜」の始まりは「午後11時ごろ」だと答える人が多くいました。つまり,「夜中」も「深夜」も午前0時をまたぐ可能性があり,日にちを限定しにくいことばです。例えば,お昼のニュースで「きょうの深夜(夜中)」と言うと,これから先のことなのか,過ぎたことなのか不明確です。

一方,「未明」は,全国調査で「午前0時」より前の時間を指すと考える人はほとんどいませんでした。「未明」は「午前0時以降」を指し、日にちの限定がしやすいことばです。

放送では,「未明」を省略するか,できるだけ「午前×時ごろ」と具体的な時間を言う配慮が必要です。「未明」は限られた場合にのみ使うと考えてください。

(『ことばのハンドブック』p.178)