最近気になる放送用語

人間ドック? 人間ドッグ?

「人間ドッグ」というスーパーが出ているのを目にしました。

「人間ドック」が本来の言い方です。

解説

「人間ドック」の「ドック(dock)」というのは、もともとは船を修理したり検査したりするための施設のことです。 それを人間に当てはめて、短期入院の健康診断のことを「人間ドック」と言うようになったのです。これが「ドッグ」だと dog(犬)になってしまいます。

「ドッグ」のように促音(小さい「ッ」)のあとの濁音(グなど)というのは、日本人にはどちらかというと難しい発音です。そのため、「ドック」と「ドッグ」とを取り違える人が多いのです。

声に出したときの区別はあいまいでも、スーパーなどで文字にしたときに間違うと目立ちます。いくつか例を挙げてみましょう。

  • ドッジボール[× ドッチボール]
  • バッグ bag「かばん」(「後ろ」はバック back)
  • バッチファイル batch file=コンピューター用語(「記章」はバッジ badge)
  • ヘット(オランダ語 vet)「牛の脂身」(「頭」はヘッド head)
  • スモッグ smog=環境用語(着るものはスモック smock)

また、促音(小さい「ッ」)に関連しない例での間違いとして、上着のジャンパー(jumper)のことを「× ジャンバー」、ギプス(ドイツ語 Gips、オランダ語 gips)のことを「× ギブス」などとしてしまうことがありますが、ご注意ください。

外来語の表記で迷ったときには、『ことばのハンドブック』『アクセント辞典』をご覧ください。

(メディア研究部・放送用語 塩田雄大)