最近気になる放送用語

よろしかったでしょうか?

上司に「君の『よろしかったでしょうか』の使い方はおかしい」と指摘されました。

「よろしかったでしょうか」は、おもに「確認」のための言い回しです。

解説

しかし最近、これまでの考え方からすると「確認」だとはいいにくい場面で「よろしかったでしょうか」を使う人がたいへん増えています。誤解を招きかねないので、使い方には注意が必要でしょう。

「よろしかったでしょうか」のこれまでの使い方には、例えば次のようなものがあります。

A 「さきほどご注文されたのは)レバニラ炒めでよろしかったでしょうか。

B 「ご自宅用にお包みしてしまいましたが、よろしかったでしょうか。

Aは、「さきほど聞いた注文」を「確認」するものです。Bは、「すでに自宅用の包装にしてしまったが、それで問題ないか」ということを「確認」するものだと言えます。

それに対して最近問題になっているのは、次のようなものです。

C 「いらっしゃいませこんにちは。こちらでお召し上がりでよろしかったでしょうか。

お客さんは、まだこちらで食べるとも何とも言っておらず、厳密な意味では「確認」だとは言いにくいでしょう。このような状況で、「こちらで食べること」が、さもあたりまえかのような物言いをされるのは非常に違和感がある、という指摘があります。

文研で実施した調査では、このような状況での「よろしかったでしょうか」は、全体の半数近くの人が「変な言い方だ」と答えています(詳細は『放送研究と調査』3月号)。

「よろしかったでしょうか」を不用意に連発すると、「自分はこう考えてるけどそれでいいよね」というやや押しつけがましい印象を与えかねません。注意したほうが「よろしい」でしょう。

(メディア研究部・放送用語 塩田雄大)