近づく? 近寄る?
2002.01.01
「近づく」と「近寄る」とは、どう違うのでしょうか。
「近づく」は時期についての言及などさまざまな場合に使えますが、「近寄る」は使える場面が限定されています。「近寄る」は「人間・動物が、意志を持って接近する」ことだと言うことができます。
解説
主語が人間(および人間が運転する乗り物)・動物の場合には、どちらも使えます。
- 犬がこちらに近づいてき(○)
- 犬がこちらに近寄ってきた(○)
- 黒塗りの車が近づいてきた(○)
- 黒塗りの車が近寄ってきた(やや擬人的な言い方)(○)
ところがそれ以外の場合では、「近づく」は使えても「近寄る」は不自然になってしまう場合が多いのです。
- タイムリミットが近づいてきた(○)
- タイムリミットが近寄ってきた(×)
- 夏も近づく八十八夜(○)
- 夏も近寄る八十八夜(×)
また主語が人聞であっても、話題になっているのが「最終的な到達地」である場合には、「近寄る」は使えません。
- 彼はやっと目的地に近づいてきた(○)
- 彼はやっと目的地に近寄ってきた(×)
次のように「接近する」ことが比喩<ひゆ>的な意味で使われている場合にも、「近寄る」は使えません。
- お近づきのしるしに…(○)
- お近寄りのしるしに…(×)
ことばづかいの細かい違いなど「近づきがたい」とお思いにならずに、わかりやすくお伝えするよう努力しますので、本年もよろしくお願いいたします。