濃(こ)いめ? 濃(こ)め?
2001.05.01
「味が濃いめ」という言い方をしたところ、「濃め」が正しいのではないか、という指摘を受けました。
放送では、「こいめ」(表記「濃いめ」)を使うようにしています。
解説
ただし、「『濃め』が正しいのではないか」という考えがあることにも、それなりの理由があります。
形容詞に「~め」が付く場合には、その「語幹」に付くのがふつうです(『ことばのハンドブック 第2版』P.74)。「語幹」とは、形容詞から「い」を除いた部分のことです。
(例)「大きい」
- →語幹は「大き」
- →「大きめ」(×大きいめ)
これは、「少ない→少なめ」「多い→多め」「かたい→かため」のように、規則的になっています。ここからすると、「濃い」の場合は「濃め」が正しいことになってしまいます。
ただし、ことばの全国調査の結果から、「濃め」という言い方をする人はたいへん少ないことが分かっています。このため、「濃い」の場合には例外的に「濃いめ」を使うことになっています。
「甘い→甘口」「辛い→辛口」のような「~口」も、語幹に付きます。これも、「濃い」の場合は例外的に「濃い口」となります。「薄茶」に対して「濃い茶」と言うのも、同じ理由です。ただし、「~すぎる」の場合は「濃いすぎる」ではなく「濃すぎる」となります。
なお、「濃口」「濃茶」と書くと、「こくち」「こちゃ」と読むことになってしまうので、「濃い口」「濃い茶」と「い」を入れて書くようにしましょう。