最近気になる放送用語

サビシイ?サミシイ?

「さびしい」と「さみしい」とは、放送ではどう使い分けたらよいのでしょうか。

たいていの場合、どちらを使ってもかまいません。ただし、「ひっそりしている」という意味の場合には「さびしい」が使われることが多いようです。

解説

まずどちらが伝統的なことばかというと、「さびしい」です。鎌倉時代までの文献には、現在の「さびしい」のもとになる「さぶし」「さびし」などは出てきますが、「さみしい」に相当することばは見つかりません。「さみしい」は、江戸時代以降になって現れたことばです。

「さびしい」には、大きく分けて2つの意味があります。

  1. いるはずの人・あるはずの物がなくて満たされない気持である。
    (=情緒的)
    「さびしい毎日」「懐がさびしい」
  2. 人の気配がなくひっそりしている。
    (=客観的)
    「さびしい山道」「さびしい村」

「さびしい」はこの両方の場合に使えるのに対して、「さみしい」は情緒的な(1)の場合には使えても、客観的な(2)ではやや使いにくいようです。このことばの使い分けに迷ったときには、たいていはどちらを使ってもかまわないけれども、「山道・村」のように「ひっそりした」と形容することも可能な場合には、「さみしい」を使わずに「さびしい」を使っておいた方が無難だ、ということになるでしょう。

また、内閣告示されている「常用漢字表」では、「寂しい」の読み方は「さびしい」となっており、「さみしい」は認められていません。「さみしい」と読んでもらいたいときには、漢字を使わずにひらがなで「さみしい」と書くようにしましょう。

(メディア研究部・放送用語 塩田雄大)