最近気になる放送用語

学区? 校区? 校下?

公立学校の通学範囲を表すことばにはいくつかあるようですが、どれを使ったらよいのでしょうか。

正式名称は「通学区域」ですが、通称としては「学区」が最も一般的です。

解説

公立学校の場合、ふつう一定の通学範囲を設定しています。これは法制上は「通学区域」と呼ばれています。教育問題などを扱う番組で厳密に使う場合には、「○○小学校の通学区域」とするのがよいでしょう。

ただし、一般には「学区」「校区」「校下<か>」などのことばが使われています。「学区」は東日本を中心とした広い範囲、「校区」は西日本、そして「校下」は北海道の一部と北陸で用いられていることが、過去の調査から分かっています。

また国語辞典では「学区」のみを載せているものが多く、「校区」「校下」を載せているものはほとんどありません。

ローカル放送に限って言えば、その地域の一般的な言い方が「校区」なり「校下」なのであれば、それを使ってもかまわないかもしれません。ただし全国放送の場合は、「校区」「校下」では視聴者に通じないこともありますので、正式名称の「通学区域」か、辞書に多く掲載されている「学区」を使うのがよいでしょう。

「学区~校区~校下」のように、同じことを表すのにいくつかのことばがあることを、「ことばに『ゆれ』がある」と言います。放送用語班では「ゆれ」に関する全国調査を定期的に行っています。今年度の結果は、『放送研究と調査』2月号・3月号をご覧ください。

(メディア研究部・放送用語 塩田雄大)