違くない?
2000.10.01
「違くない」という言い方は、なぜいけないのでしょうか。私は自然に使ってしまいますが。
「違くない」「違かった」「違くて」という言い方は、最近とても増えています。これがふさわしくない理由は、「違う」が形容詞ではなくて動詞だからです。
解説
中学校の国語の授業を思い出してください。「違う」などの動詞は、
違ワない・違ウ・違エば・違ッた・違ッて
というふうに活用します。「違くない」などの形は出てきません。
いっぽう形容詞は、
白クない・白イ・白ケレば・白カッた・白クて
と活用します。
ただし、「違う」は活用の上では動詞でも、何かが動いたり止まったりするものではなく、「同じではない」という状況を説明するときに用いられるものなので、意味の上では形容詞に非常に近いのです(英語のdifferentは形容詞です)。そこで、動詞である「違う」を形容詞ふうに「違い」とし、無理やり活用させたのが「違クない、違カッた、違クて」なのです。
Mr.Childrenの曲の歌詞にも「…例えばこれが恋とは違くても」という表現がありました。また、首都圏の若者の間では「違うよ」の意味で「ちげーよ。」と言う人が増えています。これは、「近いよ」を「ちけーよ。」というのと同じく「違いよ」というものを「ちげーよ。」と言っているのだと考えることができます。
放送では、ことばの変化をあえて先取りする必要はありません。伝統的な形を強くお勧めします。