「梅雨入り」(つゆいり)と「入梅」(にゅうばい)
1998.06.01
梅雨の季節になったら「入梅」という表現をしてもよいのでしょうか。
いけません。放送では,「梅雨入り」という表現を用いることになっています。
解説
季節の変わり目をあらわすものとして、「彼岸」「土用」などが暦に記されていますが、「入梅」もこれらと同じたぐいのものです。「入梅」はだいたい6月11日ごろ(正確には太陽の黄経が80度の日)ですが、このような暦の上の表現としては「入梅」を使うことができます。いっぽう、気象上の実際の「梅雨入り」の時期は、年によって、またところによって異なるので、「入梅」の日と「梅雨入り」の日とは重ならないことが多いのです。
なお東京を含めた東日本各地では、梅雨の時期そのものを「ニューバイ」と言い表してきたことがありました。いっぽう関西では伝統的に「ツユ」を用いてきたようです。現在の共通語としては、東京の「ニューバイ」ではなく、もともとは関西のことばであった「ツユ」が広く用いられています。外国語から取り入れたことばを「外来語」というのに対して、このように日本の中の方言から取り入れたものを「内来語」と呼んでいる人もいます。「内来語」は、実は共通語のなかに多くみられるものなのです。