最近気になる放送用語

「五月雨」

5月に降る雨を「五月雨」と言ってもよいのでしょうか。

問題があります。五月雨と言うのは「旧暦5月に降る雨」が本来の意味で、「新暦6月ごろに降る雨」、つまり梅雨を指すことばです。現在の5月に降る雨を「五月雨」と言い表すことには抵抗感をもつ人がいるので、放送では注意が必要です。

解説

ただし、「五月晴れ」(さつきばれ)は事情が少々違います。旧暦5月が梅雨のころにあたることから、もともとは「梅雨の期間中にときどきある晴れ間(=梅雨晴れ)」を指していました。ところが、昭和になってから、誤って「新暦5月のすがすがしい晴れ」を指すようになり、現在はこちらの方が定着しています。

「五月雨」は6月で、「五月晴れ」は5月なのは変じゃないか、と思うかもしれません。しかし、ことばは常に変化するもので、ある使い方をする人が増えてくれば放送もそれに従っていく必要があります。もちろん、本来の意味を知っておくことはとても重要なことです。

(メディア研究部・放送用語 塩田雄大)