放送現場の疑問・視聴者の疑問

「10皿」の読み

「10皿」の読みは、「トサラ」?「ジッサラ」?「ジュッサラ」?

伝統的には、[トサラ]ですが、現在では、[ジッサラ][ジュッサラ]という読みも認めています。

解説

数詞の読みは、時代とともにゆれてきており、和語系の「ひ・ふ・み・・・」の読みが衰退し、漢語系の「イチ・二・サン・・・」が増えてきています。「10皿」は、伝統的には、[トサラ]と読みますが、耳で聞いてわかりにくいことや、日常生活であまり使われないことから、現在では漢語系の[ジッサラ][ジュッサラ]という読みも認めています。

ほかに、もともとは[ト]と読んでいた「10切れ」「10組」「10束」「10たび」「10箱」「10鉢」などについては、[ジ(ュ)ッ]の読みを「第1の読み」として認め、[ト]の読みは、「第2の読み」としています。今後、漢語系の読みが増えていくのは、流れでしょう。

ただ、「10月(期間)」は[トツキ]、「10日」は[トーカ]しかありませんし、ほかのものについても、文脈や番組の内容(例えば、伝統的な事柄を伝える番組など)によっては、和語系の[ト]の読みのほうがふさわしい場合もあります。放送では、伝える内容や状況、雰囲気によって、「ひ・ふ・み・・・」の読みと「イチ・二・サン・・・」の読みの使い分けをするように心がけています。

また、漢語系の読みの場合、[ジッ]と読むか、[ジュッ]と読むかについては、NHKでは、現在、どちらでもよいことにしています。「十」の発音は、もともとは[ジフ]であり、これがカ行音やサ行音などの前では、[ジッ]という発音になるというのが伝統的な読みでした。その後、[ジフ]は、[ジュー]に変化したため、[ジッ]という既存の発音に引っ張られて、[ジュッ]とも発音されるようになったと考えられます。NHKでもかつては、伝統的な[ジッ]のみを認めていた時代もありましたが、現在、一般的には[ジッ][ジュッ]の2つの読みが並行して使われており、どちらかを標準的と決めるのは難しい状況のため、両様を認めることにしています。

(メディア研究部・放送用語 滝島雅子)