放送現場の疑問・視聴者の疑問

「河川敷」の読みは[カセンシキ]?[カセンジキ]?

ことし7月末に新潟県と福島県を襲った記録的豪雨で、増水した信濃川などの「河川敷」の様子が伝えられていました。この「河川敷」の読み方は、[カセンシキ][カセンジキ]どちらでしょうか。

放送では、両方の読み方をしています。

解説

「河川敷」という語は、従来主に「河原(かわら)」と言われていたものが、都市近郊の河川を中心に緑地や運動施設として利用されるようになってきた昭和30年代後半から40年代初めにかけて「河川の敷地」の意味で使われるようになったものとみられます。河川法では「河川管理施設の敷地である土地の区域」などとあるだけで、「河川敷」は法令用語としては使われていません。放送では以前は「原則として『かわら(川原・河原)』」と言いかえることにしていました。しかし、昭和50年代以降「河川敷」という語がかなり一般的に用いられるようになってきたことから、昭和57(1982)年9月の第950回放送用語委員会で「河川敷」について以下の決定をしています。

【決定】 「河川敷」はそのまま使ってよい。
読みは「カセンシキ」「カセンジキ」の両様を認める。
表記は「河川敷」。(特例として送りがなは省く)

放送で[カセンシキ]と[カセンジキ]の両方の読み方をしているのは、次のような事情・理由によるものです。関係の官庁や大学でそれぞれ同じ程度に使われていて、その読み方をしている根拠もあまり明確でなく各分野での慣用に従って読んでいるとみられること。「敷」のつくほかの語の読みについて考えてみても、清濁(シキかジキか)には法則性が認めにくいことなどのためです。

この「河川敷」の読みについて手元にある国語辞書類を調べてみると、多くの辞書が見出し語の読みを「かせんしき」のみ記したり、「かせんしき」に加えて「かせんじき」の読みも付記したりしています。一方、これとは逆に「かせんじき」の読みを先に示して<「かせんしき」とも>と記している辞書があるほか「かせんじき」という読みだけを載せている辞書もあるなど「河川敷」の読み方は分かれています。

参考 「敷」が後に付く語の読み方の例(『NHK日本語発音アクセント辞典 新版』から)

  • [シキ]と読む語 (うわ)敷き 座敷 風呂敷 屋敷
  • [ジキ]と読む語 板敷き 桟敷 下敷き

(『NHK日本語発音アクセント辞典新版』P164、『NHK漢字表記辞典』P94、『NHKことばのハンドブック第2版』P47参照)

(メディア研究部・放送用語 豊島秀雄)