放送現場の疑問・視聴者の疑問

「エイズに感染する」という言い方は?

「エイズ―後天性免疫不全症候群」の関連で「エイズに感染する」という言い方を時折耳にしますが、この言い方は的確ではないと聞きました。放送では、どのように言っているのでしょうか。

○ 「エイズウイルスに感染する」
エイズは、「HIV」というウイルスの感染によって起きます。エイズに対する正しい理解と認識を深めてもらうため「エイズウイルスに感染する」など「~ウイルス」という語を付けて伝えることにしています。

解説

エイズ-AIDSは、「acquired immunodeficiency syndrome」(後天性免疫不全症候群)の英語の綴りから[a][i][d][s]の大文字を連ねた省略形です。つまり、AIDSの「S」は「syndrome」(症候群)の「S」です。医学用語の「症候群-syndrome」は「幾つかの複数の症候で形成される病態」を指します。このため、「エイズに感染する」という言い方は「症候群―病態に感染する」ということになり、的確な表現ではありません。

エイズ-AIDSは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV-human immunodeficiency virus)の感染によって起きます。エイズ-AIDSに対する正しい理解と認識を深めるため、的確・適切な表現をしたいものです。

[例]

  • ○「エイズウイルス(HIV)に感染しています」       ×「エイズに感染しています」
  • ○「エイズウイルス感染者」                  ×「エイズ感染者」
  • ○「○人に1人がエイズウイルスに感染しています」   ×「○人に1人がエイズに感染しています」

*なお、「エイズウイルス」は通称で、医学上の正式名称は上記の「ヒト免疫不全ウイルス・HIV-human immunodeficiency virus」です。

*エイズをめぐる問題やHIV-ヒト免疫不全ウイルスについて言及していることが文脈や状況の中で明確であるのなら、単に「感染者」などと言うこともできます。

(メディア研究部・放送用語 豊島秀雄)