「三人吉三」の「吉三」の読みは?
2009.07.01
歌舞伎の「三人吉三」の「~吉三」について、「~きちさ」のほか、「~きちざ」という言い方も耳にします。どちらが正しいのでしょうか。
○[~キチサ] ×[~キチザ]
「さんにんきちさ」です。濁りません。
解説
「三人吉三」は、河竹黙阿弥作の歌舞伎脚本「三人吉三廓初買(さんにんきちさくるわのはつがい) 」(別名題「三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)」)の通称です。この「三人吉三」について、「さんにんきちざ」という言い方・読み方を放送などで時折聞くことがありますが、正しくは清音で「さんにんきちさ」です。また、能や歌舞伎、文楽で演じられる「三番叟」は、○「さんばそう」です(×「さんばんそう」)。
「三」の付くことばで、読みを誤ったり迷ったりすることの多い語例を幾つかあげますと・・・・
- 三階 ○サンカ゜イ ×サンカイ
- 三軒 ○サンケ゜ン ×サンケン
- 三拝九拝 ○サンハ゜イキューハイ ×サンハ゜イクハイ
- 三種の神器 ○サンシュのジンキ゜ ×~のジンキ ×~のシンキ
- 三位一体 ○サンミイッタイ ×サンイイッタイ
(『ことばのハンドブック 第2版』p.89、338~363『日本語発音アクセント辞典 新版』p.355~ 359参照)