放送現場の疑問・視聴者の疑問

「捜す」と「探す」

「無くしたものや欲しいもの」を見つけようとする場合の「さがす」[サカ゚ス]の漢字表記について、「捜す」と「探す」のどちらを使えばよいか、迷うことがあります。どのように使い分ければよいでしょうか。

一般に「無くしたもの」「見えなくなったもの」や「居なくなった人」などを「さがす」場合には、「捜す」です。「紛失物を~」「行方不明者を~」 また、「欲しいもの」や「見つけたいもの」を「さがす」場合には、「探す」を用います。「職を~」「他人のあらを~」

解説

「捜す」と「探す」は 同じ読みで「捜」と「探」の漢字の意味も極めて似通っているため、実際の使い分けにあたっては紛らわしい場合も多く、私も放送の現場時代に表記に迷った語の1つです。 この2語の語意の微妙な違いと使い分けについて、同音同訓異義語の特設欄や類義語の囲み記事で示している辞書も幾つかあります。

そのうちの1つによりますと<「捜す」は、見えなくなったものをさがしだす意で、「犯人を捜す」「落とし物を捜す」「迷子を捜す」などと使われる。「探す」は、ほしいものを見つけようとする、きわめる意で、「宝物を探す」「職を探す」「住まいを探す」などと使われる。(以下略)>(『旺文社国語辞典 [第九版]』)

また、NHKも加盟している日本新聞協会の『新聞用語集』は、「捜す」と「探す」の表記の使い分けについて次のように記しています。

さがす
  • =捜 [主として見えなくなったものをさがす]家出人を捜す、家族を捜し求める、犯人を
    捜す、紛失物を捜す、家捜し=やさがし=、行方不明者を捜す
  • =探 [主として欲しいものをさがす]あら探し、獲物を探す、貸家を探す、探し物、職を探
    す、宝探し、父の面影を探す、(以下略)

このような用例を記したうえで、『新聞用語集』では次のような注釈を付けて います。〔注「捜(探)し歩く」「捜(探)し出す」「捜(探)し回る」などは実 情に応じて使い分ける〕

放送でも、このような考え方や語意・語法をもとに「捜す」と「探す」を使 い分けています。新聞協会の加盟社の中には『新聞用語集』の上記の注釈に加えて自社の『用字用語ハンドブック』に以下のような用例を付記してある社もあります。<「店で気に入った財布を探す」「紛失した財布を捜す」、求人は「人探し」、「行方不明者は「人捜し」となる。>

(共同通信社『記者ハンドブック 第10版』) (『NHK新用字用語辞典 第3版』p.207参照)

(メディア研究部・放送用語 豊島 秀雄)