放送現場の疑問・視聴者の疑問

「ちょくさい」「ちょくせつ」?

「はっきりものを言う」場合などに使う「直截」について、「ちょくさい(に言う)」と読んだり話したりしているのを放送でも耳にします。これは「ちょくせつ(に言う)」ではないでしょうか。

そのとおりです。「直截」の読みは「ちょくせつ」です。×「ちょくさい」

解説

「ちょくせつ【直截】」は、「(1)ためらわず、すぐに裁断を下すこと。(2)まわりくどくなく、きっぱりしていること。(以下略)」(『広辞苑』岩波書店)で、「まわりくどくなく、はっきりと言うこと」や「きっぱりした簡明な言い方」を「直截に言う」「直截(的)な表現(物言い)」などと言います。「直截」の「截」は「きる」「たつ」という意味で、「せつ」と読み「さい」とは読みません。「直截」の読みは「ちょくせつ」です。「直截」の「截」が「載」(さい)や「裁」(さい)という文字に似ていることもあるのでしょうか、「直截」が「ちょくさい」と誤って読まれることがかなり多いようで、私自身もよく耳にします。漢和辞典の中には、「截」の字を「『サイ』の音に読むのは、本来は誤用」と記したり、国語辞書の中にも「直截」について「最近は『ちょくさい』と読むことも多いが誤り」と明記したりしている辞書もあります。

ところで、放送にあたって常に配慮すべきことは、正しく適切なことばの使い方や読み方に加えて、その用語・表現が耳で聞いてわかりやすいかどうかということです。「直截」についても、文学作品や文章を直接引用する場合などを除いてなるべく状況に応じた言い添えや言いかえをすることを心がけたいものです。
* 「直截」の「截」は常用漢字表にない字(表外字)ですので、放送での表記は「直せつ」です。番組の制作上、漢字を使う必要がある場合はルビをふって漢字を使うこともあります。

(『日本語発音アクセント辞典』P568参照)

(メディア研究部・放送用語 豊島 秀雄)