放送現場の疑問・視聴者の疑問

「弱冠18歳」

18歳の女性を番組で取り上げる場合、「弱冠18歳で・・・」という言い方をしてもよいでしょうか。

「弱冠」は、もともと男子20歳の異称です。特に女性にそのような言い方をするのは適切・的確ではありません。

解説

「弱冠」の本来の意味は「(古代中国で男子20歳を『弱』といい、元服して冠をかぶったことから)男子の20歳の異称。また、成年に達すること」(『広辞苑』岩波書店)です。これが転じて今では「相対的な若さを表現する」場合や「20歳前後の若い人を指す」言い方として使われることが多くなっています。しかし、もともとの意味とは異なるうえ一般にはわかりにくく抵抗感があります。また、新聞社の中には『用字用語ハンドブック』の中で、「弱冠」について「男子20歳の異称」と本来の意味を示したうえで、新しい用法について「20歳前後に使う。『弱冠30歳』などとはしない」「10代からせいぜい20代までで『弱冠30歳』などとは使わない」と記述してあるところもあります。放送でも、「弱冠」の本来の意味と使い方をよく認識したうえで的確な表現を心がけましょう。

(『ことばのハンドブック』P82参照)

(メディア研究部・放送用語 豊島 秀雄)