放送現場の疑問・視聴者の疑問

「空念仏」の読み方は?

政党間の選挙協力の結果に関連した新聞記事で「空念仏(に終わる)」ということばが出ていました。「空念仏」の放送での読みは、どうなっているのでしょうか。

「空念仏」には[カラネンブツ][ソラネンブツ]の2とおりの読み方があり、意味によって読み分けています。

解説

「空念仏」は次のように読み分けてます。


  • (1)カラネンブツ・・・ 実行の伴わない主張
  • (2)ソラネンブツ・・・ 心のこもっていない(仏を信ずる心がなく)口先だけの念仏

「空念仏」は「空念誦(そらねんじゅ・そらねんず)」ともいい、伝統的な読みと意味は(2)とされ、かつては放送でも(2)のみを使っていました。しかし、戦後になって[カラネンブツ]の読みも採る辞書が出てきて、(1)の意味を記述するようになり、この読みと意味が慣用として広がってきました。このため、昭和41年6月の第611回放送用語委員会で新たに2とおりの読みと意味で使い分けることを決めています。

(『ことばのハンドブック』P42参照)

(メディア研究部・放送用語 豊島 秀雄)