放送現場の疑問・視聴者の疑問

電子計算機は「コンピュータ」「コンピューター」? 他

以前から気になっていることですが、電子計算機について、「コンピュータ」と「コンピューター」の両方の書き方を見ます。放送での決まりはあるのでしょうか。

「コンピューター」と長音符号をつけてのばしています。

解説

「computer」について電子機器業界など専門分野では、確かに「コンピュータ」というように語末に長音符号をつけない場合が多く、『学術用語集』(電気工学編)でも「コンピュータ」と表記しています。しかし、外来語には特に英語には、「computer」をはじめ「elevator」「calendar」のように「-er」「-or」「-ar」などで終わる単語が多く、カタカナにする場合その大部分は一般には長音符号「ー」をつけて書く傾向があり慣用化しています。このため、放送での表記・書き方は「コンピューター」とし、読む時も語尾をのばしています。国内の主な新聞社や放送局も同じ表記をしています。

また、語末が「-y」で終わる「party」や「authority」も、「パーティー」「オーソリティー」のように原則として長音符号を用いて書いています。

<例外>

Kennedy ケネディ(人名)

このほか、外来語の長音符号の表記についてはNHKでは次のような放送上の細  則(決まり)を設けています。


  • (1)原語の二重母音[ei][ou]などは、原則として「ー」を用いて書く。
    <例>
    ゲーム:game  メール:mail  レート:rate
    ボート:boat  ホーム:home  ローン:loan
    <例外>
    エイト:eight  ペイ:pay  レイアウト:layout
    フェイルセーフ:fail-safe  ケインズ:Keynes(人名)
    サラダボウル:salad bowl  ボウリング:bowling
  • (2)慣用により長音符号の代わりに母音字を添えて書くものがある。
    <例>
    バレエ:ballet(フランス語,×バレー)
    「排球」はバレーボール
    ミイラ:mirra(ポルトガル語,×ミーラ)

(『ことばのハンドブック』P212~213参照)

(メディア研究部・放送用語 豊島 秀雄)