放送現場の疑問・視聴者の疑問

「極め付け(きわめつけ)」は「極め付き(きわめつき)」?

ある番組の中で「極め付け(きわめつけ)の演技」と言っていましたが、「極め付き(きわめつき)~」が本来の言い方ではないでしょうか。

そのとおりです。

解説

「極め付き(きわめつき)」は、書画・刀剣・骨董類に極め書き[キワメカ゚キ](鑑定書・証明書で極札[キワメフダ]とも言う)がついているもののことです。転じて定評のあるもの、高い・確かな評価を受けているもののことで、「~の演技」などと言う場合も「極めつけ(きわめつけ)の~」ではなく、「極め付き(きわめつき)の~」が本来の言い方です。「極め付け」を「極め付き」と同じ意味として載せている辞書もありますが、「極め付け」「極め付けの~」という言い方には抵抗感を持つ人が多いようです。新聞社や通信社の『ハンドブック』の中には、誤りやすい用字用語の一つとして、×「極め付け」→○「極め付き」と示しているものもあります。

歌舞伎の世界での「極付」(きわめつき)は、「社会の評価が確定している、証明つきの、その人以外にない厳然たる芸」(演劇百科大事典・平凡社)を言います。また、演目の「極付幡随長兵衛」の読みも「きわめつきばんずいちょうべえ」です。江戸初期の侠<きょう>客「幡随院長兵衛」の名前は「幡随院~」と「院」がつきますが、歌舞伎の題名では「院」はつきません。

(『新用字用語辞典』P140、『日本語発音アクセント辞典』P237参照)

(メディア研究部・放送用語 豊島 秀雄)