「判官」の読み方は?
2002.05.01
先日、歌舞伎や浄瑠璃に出てくる「小栗判官」に関したニュースを放送していました。こうした古典芸能に登場する「判官」について、「はんがん」と「ほうがん」の二とおりの読み方を耳にしますが、この場合どちらでしょうか。
「おぐりはんがん」です。源義経の場合は、「(九郎)判官」「(くろう)ほうがん」です。
解説
「判官」は、武士の役職・官名のほか裁判官の古い言い方ともされ、「はんがん」「ほうがん」両方の読みがあります。歌舞伎や浄瑠璃に登場する「~判官」の読みは以下のとおりです。
- [ハンカ゚ン]・・ 『仮名手本忠臣蔵』の「塩谷判官<えんやはんがん>」
『小栗判官車街道』、『オグリ』の
「小栗判官<おぐりはんがん>」
[ホーカ゚ン]・・ 『勧進帳』などの源「九郎判官<くろうほうがん>」義経
源義経を「判官<ほうがん>」というのは、義経が検非違使の「尉<じょう>」という職位にあり、「尉」の別称が「判官」だったためとされています。
「判官贔屓(ほうがんびいき)」ということばも、兄頼朝に冷たく扱われる悲運・薄命の武将義経への愛惜や同情・肩入れの気持ちを表し、転じて「弱者に対する第三者の同情や贔屓<ひいき>」(広辞苑)を意味するようになりました。また、浄瑠璃や歌舞伎で、義経に関する物語や伝説をもとにした作品を「判官物(ほうがんもの)」と言います。
なお、お聞きになったというニュースは、「『小栗判官』に登場する照手姫(てるてひめ)の伝説にちなんだ石碑が神奈川県相模原市に建てられた」という内容かと思います。私もラジオで聞きましたが、担当のアナウンサーは[オク゚リハンカ゚ン]と読んでいました。
(『ことばのハンドブック』P166参照)