予備兵は「招集」する?「召集」する?
2001.10.01
同時多発テロ事件の関連で、アメリカが「予備役を[ショーシュー]する」という場合の表記は、「招集」と「召集」のどちらでしょうか。
その場合は、「招集」にしています。
解説
人を呼び集めることを言う「しょうしゅう」の漢字表記には、「召集」と「招集」があります。このうち「召集」の「召」は、漢和辞典などをみますと、「口で呼び寄せる」「目上の人・地位の高い人からの呼び出し・まねき(お召し)」などと説明してあります。この「召」の文字を使った「召集」は、かつて終戦前まで、戦時やその他必要に応じて在郷軍人や国民兵を軍隊に編入するため呼び集めることばとして、「~規則」「~令状」などのかたちで使われていました。また、今の日本国憲法の第7条[天皇の国事行為]の中には、「国会を召集すること」と記されています。一方、「招集」の「招」は、本来は「手まねきをする」「手でまねき寄せること」で、一般には「関係者を招き集めること」「多くの人に集まってもらうこと」の意味で使われています。こうしたことばの本来の意味や用法から、放送では「召集」と「招集」を次のように使い分けています。
召集… 日本の国会、旧日本軍に限定する。
- <例>国会の召集 (旧日本軍の)召集令状
招集… 地方議会、外国の議会、自衛隊、外国の軍隊など、一般的には、この表記を使う。
- <例>会議を招集する 予備役の招集
(『ことばのハンドブック』P88参照)