放送現場の疑問・視聴者の疑問

「初盆」と「新盆」についての使い分けや決まりはある?

人が亡くなった後、初めて迎える盆のことを、「初盆(はつぼん)」のほか、「新盆(にいぼん・あらぼん・しんぼん)」というふうに幾とおりかの言い方を聞きます。
放送での使い分けや決まりがあるのでしょうか。

放送での読みの決まりや使い分けは、とくにありません。

解説

その人の死後、初めて迎えるお盆の言い方については、国語辞典の見出し語では、「初盆」や「新盆」が出ています。このうち「初盆」は「はつぼん」という読みだけですが、「新盆」には「にいぼん」「あらぼん」「しんぼん」という読み方が示されています。このように幾とおりかの言い方があるのは、意味などの使い分けによるものではなく、それぞれの地域での使い方の違い(地域差)と考えられます。NHKが昭和53年(1978年)に農林水産通信員を対象に行った「ことばの地域差」調査によりますと、「初盆(はつぼん)」が全国的に最も優勢でした。しかし、関東甲信越地方だけは「初盆」とは言わず、「にいぼん」「あらぼん」「しんぼん」が重なり合って分布していました。ただ、調査時点から20年以上たっているので、この分布も変化しているかもしれません。

用語委員会などでは、「初盆」「新盆」についての言い方や読み方について決めてはいませんが、実際の放送では、「新盆(にいぼん)」「初盆」という言い方が多く使われているようです。放送にあたっては、なるべく「(亡くなった後)初めて迎える盆」などと言い添えたほうがよいでしょう。

(『日本語発音アクセント辞典』P670、730参照)

(メディア研究部・放送用語 豊島 秀雄)