放送現場の疑問・視聴者の疑問

「枢機卿」は〔スーキキョー〕〔スーキケイ〕放送ではどちら?

ペルーの日本大使館人質事件で、人質解放の交渉にあたったシプリアーニ大司教(事件当時は司教)が、「枢機卿」に昇格したという記事を新聞で読みました。「枢機卿」には、[スーキケイ]と[スーキキョー]の二とおりの読みがあるようですが、放送では、どのように読んでいるのでしょうか。

[スーキキョー]と読んでいます。

解説

「枢機卿」は、Cardinalの訳語です。

「卿」の読みには、[キョー](呉音)と、[ケイ](漢音)があります。「枢機卿」については、以前は[スーキキョー][スーキケイ]の二とおりの読みをしていましたが、昭和35年3月、東京カトリック大司教土井辰雄師が日本人初の枢機卿に任命され、翌月カトリック教の全国司教会議が[スーキキョー]という呼び方に統一することを決めました。放送でも、これを機に[スーキキョー]と読むことにしています。「卿」は表外字ですが、「枢機卿」は特例として漢字表記にしています。英語のLordにあたる「~卿」の読みと表記も、[キョー]「~卿」にしています。

なお、呉音とは中国・六朝時代の中国南方(呉地方)の発音といわれます。漢音は呉音よりも新しく、中国の隋・唐以後の長安(現在の西安)や洛陽の発音といわれます。

(『日本語発音アクセント辞典』P452、『ことばのハンドブック』P95、 『新用字用語辞典』P114参照)

(メディア研究部・放送用語 豊島 秀雄)