放送現場の疑問・視聴者の疑問

「かんひざくら」と「ひかんざくら」は同じ桜?

沖縄の本部町から満開の「かんひざくら」を中継していましたが、「ひかんざくら」という言い方も聞いたことがあります。同じ桜でしょうか。また、こうした植物や動物の名前は、「ひらがな」「カタカナ」「漢字」といろいろな書き方があるようですが、放送では決まりがあるのでしょうか。

「かんひざくら」は「ひかんざくら」の別名です。動植物名については通常、漢字かひらがなで、外来種や学術的な場合はカタカナで書きます。

解説

「かんひざくら」(寒緋(ひ)桜)は、「ひかんざくら」(緋(ひ)寒桜)の別名で、「たいわんざくら」「がんじつざくら」とも言います。奄美大島以南では本州などでの「そめいよしの」に代わって、この「ひかんざくら」が桜前線の開花日の基準になっています。本州中部以西に多くみられる「彼岸桜(ひがんざくら)」は、別種類です。動物や植物の名前は普通、漢字かひらがなで書きます。このうち、ひらがなで書くのは、動植物名を表す文字が常用漢字にないものです。動物なら「とら」「くま」「おおかみ」など。植物では、「きり」「ひのき」「ふじ」「らん」などで、動植物名の多くがこれにあたります。一方、「コアラ」「パンダ」「ダリア」「チューリップ」といった外来種のものはカタカナ書きにしています。また、漢字やひらがなで書くものでも、そのことばに特別のニュアンスを持たせたり強調したりする場合や、前後の関連でわかりにくくなる場合は、カタカナで書くこともあります。

このほか、カタカナで書く慣用が強い学術的名称は、カタカナ表記にしています。(例 バラ科サクラ属 オオハクチョウ)

(『改訂版気象ハンドブック』P70・『ことばのハンドブック』P130・『新用字用語辞典』P15参照)

「緋寒桜見むと急ぎて日暮れけり」(辺見 京子)

(メディア研究部・放送用語 豊島 秀雄)