放送現場の疑問・視聴者の疑問

「就職したやさきでした」は正しい?

先日、ある番組のナレーションで「○○さんは就職したやさきでした」という表現がありました。この場合の「やさき」の使い方は誤りではないでしょうか。

「やさき」は、一般には事がまさに始まろうとする時に使う語です。すでに完了してしまった場合に使うのは、正しい表現ではありません。

解説

「やさき」は「矢先」つまり「矢の先端」のことで、転じて物事がまさに始まろうとする時に使います。例えば「~しようとするやさき(でした)」「~しようとしたやさき(でした)」の形で使うのが普通です。これらはいずれも、「あることがまさに起ころうとする際に、別の何かが起こる」という場合に使われます。すでに完了してしまった場合には使いません。上の例は「就職して“さあ、これから”という時でした」という気持ちで使ったのでしょうが、「○○さんは、就職したばかりでした」などと言い替えたほうがよかったでしょう。

(メディア研究部・放送用語 豊島 秀雄)