放送現場の疑問・視聴者の疑問

8月15日は「終戦記念日」「終戦の日」?

終戦を迎えた8月15日を、「終戦記念日」といったり「終戦の日」といったり、メディアによって表現がマチマチですが、NHKではどのようにいっているのでしょうか。

「終戦の日」といっています。

解説

8月は終戦や原爆・空襲など、先の大戦に関するニュースや番組がさまざまな形で放送されます。このうち、終戦を迎えた15日を「終戦記念日」と表現することに抵抗を感じる人も多いので、放送では「終戦の日」といっています。広島と長崎に原爆が投下された6日と9日も、「原爆の日」という表現をしています。

ところで、このような節目の日について表現するのに「~周年」という言い方があります。この「周年」ということば自体は「その数だけ年を経たこと」をあらわし、本来は「良い・悪い」という意味は含まれていません。しかし、多くの辞書が「創業(創立)~周年(記念)」のように、どちらかといえば「その日を祝う」というニュアンスが含まれる用例をあげています。一般的にも慶事・喜ばしい出来事の場合や年ごとの節目が巡ってくることに期待を寄せる場合によく使われています。このため、「~周年」を不幸な事柄があった日に使うことに抵抗感や違和感を持つ人もいます。放送では、悲惨な出来事や災害(震災)などが絡んだ節目の日には、原則として「~周年」という言い方はしないで、「~から○○年たちました」のように表現を工夫しています。

(ことばのハンドブックP84ほか参照)

(メディア研究部・放送用語 豊島 秀雄)