原爆投下から70年 薄れる記憶,どう語り継ぐ

~原爆意識調査(広島・長崎・全国)より~

公開:2015年11月1日

原爆投下から70年を迎えた2015年6月,NHKが広島市と長崎市,全国で実施した電話世論調査の結果について,被爆地と全国の比較や時系列比較を交えて分析,報告する。原爆についてふだんどの程度話し合うかを尋ねた結果,広島・長崎では「あまり」または「まったく」ないという人が5年前と比べ増加し,ほぼ3人に2人に上った。また,広島で「広島原爆の日」を正しく答えられた人は69%で5年前から変化がないが,長崎で「長崎原爆の日」を答えられた人は5年前の64%から59%に減少するなど,被爆地でも記憶の風化が進んでいる。一方,全国で広島・長崎それぞれの投下日を答えられた人は3割前後に過ぎず被爆地よりさらに低い。アメリカが広島と長崎に原爆を投下したことについてどう思うかを尋ねた結果,5年前は全国・広島・長崎ともに「今でも許せない」のほうが「やむを得なかった」より多かったが,2015年は広島・長崎で「今でも許せない」が減少し,被爆地では2つの意見が同程度となった。核兵器については全国・被爆地とも「保有も使用も良くない」と考える人が約8割を占める。しかし,核軍縮の見通しについては多数が悲観的で,さらに7割前後が核戦争の起きる危険性を感じている。原爆の被害や被爆者の実情が世界に伝わっていないと感じる人はどの地域でも6割を超え,被爆者の高齢化が進むなか,被爆体験をどう受け継いでいくかが問われている。

世論調査部 政木みき

※NHKサイトを離れます

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