日本人は"いのち"をどうとらえているか

~「生命倫理に関する意識」調査から~

公開:2015年4月1日

第3者による卵子提供や代理出産、それに脳死段階における臓器提供など、医療が飛躍的に高度化する中で、“いのち”にかかわる選択肢が増えている。12年ぶりに実施した2014年の全国調査から、日本人が“いのち”についてどうとらえているのかをみる。

▼夫婦の精子と卵子による体外受精について「どちらかといえば」を合わせて『認められる』が2002年の73%から81%へと増えた。夫婦以外の精子や卵子による体外受精については、『認められる』が20%台だが、2002年の10%台から増えた。▼代理出産についても、『認められる』は20~30%台にとどまるが、若年層を中心に大きく増え、高年層との違いが鮮明化している。▼臓器再生で許容できるのは、「皮膚や骨」が80%に対し、「卵巣や精巣」が26%、「精子や卵子の元になる細胞」が25%などで、生殖にかかわる臓器や細胞をあげる人は少ない。▼「脳死」を人の死と考える人は2002年の35%から46%に増加し、脳死での臓器提供に肯定的な人も増えた。▼尊厳死については、『認められる」が2002年の80%から84%になった。安楽死については2002年の70%から73%となったが、尊厳死よりは少ない。▼生命倫理に対する意識を包括的にみるため数量化Ⅲ類の計算を行った。医療技術に対する「積極―慎重」「保留―表明」が意識の底流としてあげられ、2002年との比較から生まれ年で意識がある程度決まっているのがわかった。

世論調査部 河野 啓/村田ひろ子

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