占領軍と日本の世論調査

—ベネットのPOSR資料から—

公開:1994年1月30日

太平洋戦争後の日本占領期に連合国最高司令部の民間情報教育局(CIE)で「世論・社会調査部」(Public Opinion and Sociological Research Division,略称POSR)の部長をしていたアメリカの社会学者ジョン・W.ペネットは,退役後も日本研究を統けるために多数の資料を持ち帰った。この資料は,「POSR資料」と呼ばれてきたが、1991年にベネットが日本世諭調査協会に寄贈し,現在は,新情報センターに保管されている。
日本の世論調査機関が最新の科学的な調査方法を修得できたのは,占領期におけるCIEの指導と援助に負うところが大きいが,この資料を見ると,当時のアメリカ側の努力の跡をうかがい知ることができる。
占領軍は世論の重要性を認識し,駐留開始後まもなくCIEの中にPOSR課を置いた。当初, POSR課は少数の専門家スタッフで発足し,「日本の世論調査機関の評価」,「日本の世論調査結果の分析」,「独自調査の企画」,「社会学的研究の実施」,「日本の調査機関の職員の訓練」などを行った。
占領政策が進展するのにつれて,スタッフ部門からの要請が増加し,課を拡充する必要性が議論された。アメリカから専門家のコンサルタントが招かれ,調査研究を推進するための組織のあり方について勧告書を提出した。提案された全国調査網の設置は実現しなかったが,課の拡充は認められ,1948年にPOSR課は部に昇格した。
1951年に解散するまでの数年間,POSR部は,占領軍に必要な調査研究を,独自に,または日本の調査機関と共同で実施するとともに,日本の専門家の指導に当たった。その間の業績の一端を示す資料として,33冊の世論調査リポート(うち10冊は部の世論調査)と,2冊の社会学的研究リポートが残っている。

世論調査部 吉田 潤

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