放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英BBC iPlayer,利用可能期間を放送後30日間に延長

イギリスの公共放送BBCによるキャッチアップサービスBBC iPlayerは,10月6日から放送後30日間,番組へのアクセスが可能となった。BBCは2013年10月にBBC iPlayerの利用を7日間から30日間に延長する計画を発表し,監督機関のBBCトラストは4月にこの計画を承認していた。

英BBC World Serviceに初の女性局長就任

イギリスの公共放送BBCは10月20日,国際報道を担当するBBC World Service Groupの局長に,フランチェスカ・アンズワース氏が12月8日付で就任することを発表した。女性の国際放送局長は初めてで,現在のニュース報道の副局長職を引き続き兼任する。アンズワース氏は1980年からBBCのローカルラジオ記者として勤務し,もっぱらラジオ・ジャーナリストとしての経験を積んだ。

仏公共放送,試験的に夜間の広告放送復活

政府による補助金の大幅削減などで財源難に苦しむフランステレビジョン(FTV)のフリムラン社長は9月30日,2009年以来行っていない夜間の広告放送について,一部復活させると労働組合側に告知した。ローカル放送を担うFrance3の4つの地域局で10月から試験的に午後8時台に1分間行われるもので,視聴者の反応が良ければ,2015年には24あるすべての地域局で広告放送を行いたいとしている。FTVはこれによって年間1,000万ユーロ(約14億1,000万円)の増収を見込んでいる。FTVは2009年からすべてのチャンネルで,午後8時から翌朝6時までの広告放送を取りやめている。

独公共放送,若者向けサービスはネットのみに

ドイツの16州の各首相は10月17日,公共放送ARDとZDFが共同で計画している14歳から29歳までの若者向けのサービスについて,インターネットのみのサービスとして法律で定める方針を共同で決定した。公共放送側は,若者向けテレビチャンネルを新設し,そこにラジオやインターネットを組み合わせるクロスメディアサービスを計画していたが,16州の首相側は,インターネットのみのサービスが望ましいとした。また,新サービス開始の一方で,ARDの生活情報専門EinsPlusと,ZDFのポップカルチャー専門ZDFkulturの2つのテレビチャンネルが廃止される。サービス開始は2016年になる見込み。

伊政府,受信料制から「公共放送負担金制」を検討へ

イタリアの放送通信を所管する経済発展省(MiSE)のジャコメッリ通信担当副大臣は,10月1日,公共放送の財源として,新しい負担金制度を検討していることを明らかにした。現行の受信料制度ではテレビ所有を根拠に,世帯毎に一律の額(2014年は113.5ユーロ,約1万6,000円)が徴収されるが,新制度ではテレビ所有の有無にかかわらず,世帯の構成人数や所得によって複数の受信料額を設定し徴収するしくみで,1世帯あたりの金額は現行よりも引き下げる方向で検討されている。

スイス,全世帯徴収の新受信料制度法案が両院可決

スイスの国民議会(下院)と全州議会(上院)は9月26日,受信機の有無にかかわらず,すべての世帯と企業から受信料を徴収することを定めた放送法改正法案を可決した。両院は,受信機を所有していない世帯について,制度導入後5年間は支払い免除にするかどうかという点で意見が分かれていたが,最終的に免除とすることで一致した。従来と同じく老齢・遺族年金と障害年金の受給者は支払いを免除されるほか,新たに,年商50万スイスフラン(約5,700万円)以下の企業も免除となる。法律は2016年1月に発効,新制度は早ければ2018年からの導入となる見込み。

スペイン公共放送,新会長決まる

スペインの公共放送RTVE(スペイン放送協会)では資金難と視聴率低迷の中,9月にエチェニケ会長が辞任したが,10月23日,後任の会長にジャーナリスト出身のホセ・アントニオ・サンチェス氏が国会での承認を受けて就任した。サンチェス氏は,2002年から04年にかけてもRTVEの会長を務めたほか,2011年からはマドリードの公営テレビ局Telemadridの会長を務めてきた。しかし,両局とも氏がトップの時期に視聴率低下や債務増加などに陥っており,サンチェス氏のRTVE会長再任に対しては疑問の声も上がっている。