放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

米NYタイムズが100人の人員削減を発表

ニューヨーク・タイムズは10月1日,ニュース編集部全人員の7.5%にあたる100人の人員削減と,事業部門などでも一定数の人員を減らす計画を発表した。さらに定期購読者を十分に獲得できなかったとして,NYタイムズが提供しているモバイル・アプリ「NYT Opinion」のサービス終了も明らかにした。一連の措置は「長期的な収益性を守るため」としており,コスト削減でねん出した資金は,将来的にデジタル部門へ投資するとしている。2014年に入り業界最大手のUSAトゥデイ,2位のウォール・ストリート・ジャーナルが相次ぎ人員削減に踏み切っており,大手新聞各社の経営難が表面化している。

米ニールセンの視聴率データミスで,ABCの首位が取り消し

調査会社のニールセンは,夕方のニュース番組で視聴率トップのNBCの『Nightly News』を,ABCの『World News Tonight』が6年ぶりに上回ったと10月7日に発表したが,1週間後に視聴率集計ソフトにミスがあったとして取り消し,NBCが依然,視聴率首位であると訂正した。同社によると3月に行われたソフトのアップデートに問題があったが,誤差の程度は微々たるものだとして,8月から始まった秋シーズンの視聴率データのみを訂正するとした。しかし,NBCからの要請を受けて,3月から7か月間の視聴率調査の集計をやり直すことを決めた。

米PBSドキュメンタリー,“まとめ視聴”で高視聴率

PBSは10月22日,ケン・バーンズ監督の14時間におよぶドキュメンタリー『The Roosevelts(ルーズベルト大統領たち)』を9月に7夜連続で放送したところ,視聴者総数が3,330万に上り,過去20年間で最も多くの人がPBSを見た週になったと明らかにした。番組はPBSのウェブページでも公開され,放送を見逃した人の多くがネット上で番組にアクセスしたと見られる。アメリカではドラマのシリーズものなどをウェブ上で一挙に公開し,視聴することができる“binge-watching(まとめ視聴)”が広まっており,PBSもその手法をドキュメンタリーに取り入れて,高視聴率につなげた。

米AMC,「BBCアメリカ」の株式49.9%取得へ

アメリカのCATVチャンネル事業者AMCネットワークは10月23日,イギリスの公共放送BBCの子会社BBCワールドワイドが所有する米国向けチャンネル「BBCアメリカ」の株式の49.9%を2億ドル(約230億円)で取得すると発表した。BBCワールドワイドは引き続き株の50.1%を所有する。「BBCアメリカ」は,CATVや衛星放送を通じて約8,000万世帯で視聴可能で,BBC番組のほか独自番組も放送している。提携によりAMCは「BBCアメリカ」の広告販売などの事業運営に加え,BBCのテレビ国際放送「BBCワールドニュース」についても米国での配信や広告販売を行う。

米FCC,周波数オークションを2016年に再延期

FCC(連邦通信委員会)は10月24日,2015年中頃に予定されていた,過去最大の周波数オークションを2016年初めに延期することをホームページ上で明らかにした。最初の2014年実施予定から15年に一度延期されており,2度目の延期となる。2014年8月にNAB(全米放送事業者連盟)が,FCCの案ではオークション後に放送局のカバーエリアが狭まり視聴者に不利益が生じるとして,計画の見直しを求めて裁判所に訴えたことから,FCCでは裁判の結果が出るまではオークションを実施できず,延期はやむを得ないとしている。

コロンビア,2015年にテレビデジタル化100%へ

南米のコロンビア政府は10月4日,国内のテレビのデジタル化を,衛星デジタル放送も活用する形で2015年中に100%達成すると発表した。コロンビアでは,地上デジタルテレビに南米では珍しいヨーロッパ方式(DVB-T2)を採用しており,2015年1月には国土の65%を地上デジタル放送がカバーする見込みである。しかし,地デジの普及が困難な内陸部や地デジ化が進んでいない306の市町村では,無料の衛星デジタル放送を利用してデジタル化を図ることになった。