放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

台湾,選挙直前の銃撃報道に批判

台湾では主要5都市の市長選挙の前日の11月26日,国民党名誉主席の長男に対する銃撃事件が起きたが,この事件に関するテレビ報道が国民党に有利な内容だったとする批判が相次いだ。当時の事件報道について野党民進党は,一部のテレビ局が事件の背景も分からないなかで,「投票によって暴力に制裁を」と述べた国民党関係者の声などを大々的に報道し選挙に影響を与えたと強く批判した。またNCCにも多くの市民から訴えが寄せられ,NCCでは中国テレビ・中天テレビ・東森テレビの計3局の,合わせて6つの報道番組について,選挙法にある「放送局の選挙報道は公正・公平でなければならない」との条項に違反する疑いがあるとして,中央選挙委員会に事案の処理をゆだねる方針を示した。

香港,RTHKの将来計画発表

香港特別行政区政府は12月3日, 公共放送RTHK(Radio Television Hong Kong, 香港電台)の将来計画を発表した。それによると,RTHKは2012年の半ばにデジタルラジオ放送として5チャンネルを配分されるほか,2011年に,過去5年間凍結してきた正規職員の採用を80人行い,その半数は若い人材を公募で採るとしている。これに対しRTHKの組合では,現在258人いる契約職員の多くは経験豊富な人材だが,若い人を優先すればこうした契約職員が排除されかねないなどと懸念を示している。

韓国,人権委が対北放送支援などの勧告案を議決

韓国の国家人権委員会は12月6日,対北朝鮮向け放送やビラ散布の支援などを主な内容とした「北朝鮮人権法制定要求および北朝鮮住民に対する情報アクセス権付与の勧告案」を議決した。この案には,政府が過去に蓄積してきた対北朝鮮向け放送に関するノウハウを民間団体に提供するよう勧告する内容も含まれている。北朝鮮に対しては厳しい態度で臨む現政権下では,人権委も北の人権問題について積極的に意見を表明する姿勢を示している。

韓国,「放送産業実態調査」の結果公表

韓国の放送通信委員会(KCC)は12月8日,国内放送産業の現況をまとめた「2010年放送産業実態調査」の結果を公表した。調査結果によると,2009年の放送事業収入は8兆9,474億ウォン(6,500億円)となり,IPTVなどの有料放送受信料収入の増加によって,前年比で3.7%増加した。
また,有料放送の加入者は2,206万人と前年比で13.6%増加した。さらに,世界金融危機にともなう景気低迷が影響し,全放送番組制作費と購入費は前年比9.6%減の1兆3,195億ウォン(950億円)となった。

インド,公共放送最高幹部に職務停止命令

インド政府は,12月21日, 大統領承認の下で,ALL India Radioと唯一の地上テレビ局Doordarshanを傘下に置くインド放送協会の最高経営責任者B.S.Lalli 氏の職務を一時停止する決定を下した。
Lalli 氏は2006年以来CEOとして協会を事実上取り仕切ってきたが,汚職などの噂が絶えなかった。
法により,インド放送協会役員の解任には,大統領が任命する最高裁判事のより綿密な調査に基づく大統領決定が必要とされている。

インド,AJEとFrance 24の配信実現へ

インド情報放送省は12月7日,中東のカタールを拠点とする英語の国際ニュースチャンネルAJE(Al-Jazeera English)とフランスの24時間ニュースチャンネルFrance 24に衛星信号ダウンロードの許可を与えたことを明らかにした。Al-Jazeera Englishは開局した2006年以来,インド政府に配信の許可を求めていた。France 24はフランス語,英語,アラビア語で放送されているが,インド向けには英語放送が配信される。

クウェート,Al-Jazeeraの支局を閉鎖

クウェート情報省は12月13日,汎アラブ衛星ニュースチャンネルAl-Jazeeraのクウェート支局閉鎖と支局スタッフの身分証発行中止を決定した。野党の政治集会を警察が規制する場面の生中継や野党国会議員とのインタビューの放送が原因と見られている。同国によるAl-Jazeera支局の閉鎖は 1999年,2002年に次いで3度目。