放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

米ニューズ社,64億ドルの赤字

米メディア企業大手のニューズ・コーポレーションは2月5日,10-12月期決算で純損失64億ドル(約6,200億円)の赤字に転落したと発表した。新聞や放送事業の営業権に関して84億ドル(約8,150億円)の減損処理を迫られたことが響いた形で,特に新聞部門の評価損が約30億ドル(約2,900 億円)と突出しているほか,テレビ事業でも広告収入の落ち込みが続いている。ニューズ社以外でもタイム・ワーナーやウォルト・ディズニーなどメディア関連の大手企業が軒並み減収減益となっている。

米ディズニー,男性向け新チャンネルスタート

米メディア・娯楽企業大手のウォルト・ディズニーは2月13日,6-14歳の若年層男性をターゲットとするケーブルテレビ専門チャンネル「ディズニー XD」を立ち上げた。不振が続いてきた傘下のアニメ専門チャンネル「Toon Disney」の名称を変更し,編成を一新して再スタートする同チャンネルは,若年層女性向けに展開して大成功した「ディズニー・チャンネル」の男性版という位置づけで,アクション・ドラマや少年向けのアニメなどを中心に編成する。このチャンネルの視聴可能世帯は7,200万とケーブルチャンネルの中でも最大規模である。

米ABCドナルドソン記者,引退

ABC放送のホワイトハウス担当などを長年務め,精力的な取材とインタビューで知られた名物記者サム・ドナルドソン氏が2月で引退すると,ワシントンポスト紙が2月16日伝えた。ドナルドソン氏は74歳,ABCに41年間勤務し,この間カーター,レーガン,クリントンの3人の大統領を担当したほか,This WeekやPrime Time Liveなどの看板番組のキャスターも務めた。特に,レーガン大統領に大声で“Hold on, Mr. President.”と質問したことは有名で,この言葉は自著のタイトル海外の動きにもなり,ベストセラーとなった。今後はコメンテーターとして,随時 ABCに出演する。

米国で2月17日に421局がデジタル移行

アメリカではデジタル移行の期日がオバマ政権の要請で6月12日に延期されたが,FCC(連邦通信委員会)の承認を受けた421の放送局が従来の日程どおり2月17日にアナログ放送を終了した。これらの放送局の地元では,少なくとも1局がアナログ放送を継続することが条件で,デジタル対応をしていない家庭が受信上の不利益を被らないよう配慮されている。17日の前後もFCCのコールセンターに苦情や問い合わせが殺到するようなケースは報告されておらず,移行は大きな混乱もなく行われた。2月17日より前に移行を済ませていた220局を含め合計で641局がアナログ放送を終了し,これで全米約1,800の放送局の3分の1が完全デジタル化したことになる。

アカデミー賞の視聴者,前年上回る

米映画界最大のイベントである「第81 回アカデミー賞」の授賞式が2 月22日に開催され,東部時間の夜8時半から11時25分まで放送されたABCの中継番組の平均視聴者は3,630万人と,前年の3,209万人をおよそ 400万人上回った。少なくとも6分以上番組を視聴した人は6,756万人に達し,18~49歳層での視聴率は12.1%だった。同番組は,2008-09年シーズンで最もよく視聴された娯楽系番組となった。去年は,視聴者数が1974年以来最悪を記録したことが話題となったが,今年はやや盛り返した形となった。

オバマ大統領の議会演説,5,230万人が視聴

2月24日に行われたオバマ大統領の初めての議会演説を全米で5,230万人がテレビで見たとニールセンが発表した。国民に直接,経済危機克服への決意を語り,協力を求めたこの日の演説は,地上波の4大ネットワークをはじめ,CNNやスペイン語のTelemundoなど合わせて10のネットワークで放送された。8年前のブッシュ大統領の議会演説は7つのネットワークが放送し3,970万人が視聴した。