放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

台湾与党の公共テレビ人事“介入”に批判

台湾公共テレビの役員人事に関して,与党国民党が自党の立法委員(国会議員)4人を理事選出のための審査委員に選んだことから,台湾のメディアNGOは 10月5日,「審査委員は社会の公正人士でなければならない」とした公共テレビ法に違反すると,厳しく批判する声明を発表した。声明はメディア学者を中心に作っている媒体改造学社と台湾媒体観察教育基金会が共同で出したもので,国民党のやり方は公共テレビの独立自主の精神を全く尊重していないとして,立法委員は公共テレビ役員人事の審査委員にならないよう求めている。台湾では国民党への政権交代後,海外向けラジオ局の中央廣播電台(中央ラジオ)の会長ら7 人が,馬英九政権から圧力を受けたとして集団で辞任するなど,当局とメディアの緊張関係が高まっている。

中国,海外メディア取材規制緩和継続へ

中国政府は,オリンピックに合わせて実施していた海外メディアへの取材規制緩和を,期限が切れる10月17日以後も継続するとした「中華人民共和国駐在外国メディアと外国人記者取材条例」を公布した。取材規制緩和は2007年1月から始められたもので,外国人記者が中国を取材する際,原則として現地の外事部門の許可を得る必要がなく,中国側の同行者を伴う必要もないとされていた。チベットのように政治的に「敏感」な地域は除かれるものの,この措置が恒久化したことについて,海外メディアは自由な取材に向けての一歩前進と評価している。その一方で中国国内メディアへの管理は強化されたままのため,中国人ジャーナリストからは不満の声も出ている。(本誌「“激動の一年”における中国のメディア政策」参照)

韓国,地上デジタル移行へ「DTVコリア」がスタート

地上放送のデジタル移行推進に向けた組織「韓国地上デジタル放送推進協会」(DTVコリア)が,10月30日発足した。DTVコリアには KBS,MBC,SBS,EBSなどの地上放送局4社と地方のMBC系列19社,それに家電流通業者や市民団体などが関わっており,初代会長にはMBC社長のオム・ギヨン(厳基永)氏が就任した。この日開かれた記念式典でオム会長は,2012年12月末までにアナログ放送を終了し,すべての国民が地上デジタル放送を見られるよう努力することを強調した。

「放送評価」でKBS1が最高得点を獲得

放送番組の質的向上と放送の公的責任確保のため,放送事業者を対象に毎年放送評価を行っている放送通信委員会は10月29日,結果を公表した。それによると,地上放送3社4チャンネル(KBS1,KBS2,MBC,SBS)のうち,KBS1が900点満点(「内容」「編成」「運営」各300点)中 763.88点を獲得して1位となり,以下SBS,KBS2,MBCと続いた。放送通信委員会では,今回の結果と現在進行中の『放送評価制の合理的改善法案研究』の結果をベースに,放送・通信融合などメディア環境の変化に合うように放送評価性を改善する計画だとしている。

インド,Bharti AirtelもDTH衛星放送参入

携帯電話最大手Bharti Airtelの子会社Bharti Telemedia社が,10月9日, 有料のDTH( 直接受信)衛星放送Airtel Digital TVのサービスを開始した。これでインドにおけるDTH衛星放送の有料プラットフォームは,8月にサービスを開始したばかりのBig TVに続き5つとなった。Airtel Digital TVは,圧縮技術にBig TV,Sun Direct同様MPEG4を採用している。Airtel Digital TVの参入でインドの有料DTH衛星放送市場は更に激しいシェア獲得競争が予想される。

インド,Big TVの加入件数が50万を突破

5つの有料DTH衛星放送が加入世帯の獲得を競うインドで,今年8月にサービスを開始したBig TVの加入件数が2か月足らずで50万を突破したことが,10月20日発表された。Big TVは新興財閥ADAG系列のReliance Communications社が運営する有料DTH衛星放送で,最初の1年以内に加入件数500万を目指すとしている。9月末現在,他の有料DTH衛星放送の加入件数は,概数で一番手Dish TVが390万,二番手Tata Skyが270万,三番手Sun Directが140万となっている。