放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

米VOA,ラジオを縮小し,TVとネットを拡充

米国際放送VOAは9月30日,ラジオでのヒンディー語,ボスニア語,セルビア語,マケドニア語の放送を終了し,これら4言語についてはテレビやインターネットでのサービスを提供することになった。インターネットでの音声配信は継続するため,サービス言語の数も要員も変化はないとしている。VOAはまた毎週30分間放送していたロシア語のテレビ放送も中止することにしている。

米インターネット広告にもかげり

米双方向広告協会(IAB)は10月7日,米ネット広告市場の統計を発表し,2008年上半期のネット広告売り上げは,前年同期比15.2%増の115億ドルを記録したものの,伸び率が大幅に減少していることが明らかになった。IABによると,去年(2007年)上半期は06年上半期に比べ27%増,06 年同期は05年上半期に比べ36%増だったという。広告業界全体で見ればインターネット広告はまだ堅調であるが,今後の経済状況によっては,さらに伸び率が縮小する可能性もある。

米金融危機,メディア産業にも悪影響

金融危機と経済低迷の影響で,アメリカの放送・新聞各社は広告収入の減少など厳しい経営状況に置かれている。バイアコムとCBSは10月10日,7-9月期の業績を発表し広告収入が3%減少したことを明らかにするとともに,2008年の利益予想を下方修正した。NBCユニバーサル社も10月17 日,2009年に5億ドルの経費削減を行うと発表,またTNSメディア・インテリジェンス社によると,2008年上半期の地方放送局の広告収入が4.4% 減少したという。一方,新聞業界でも,9月にタブロイド紙大手のニューヨーク・サンが廃刊になったほか,ニューヨークタイムズ紙は,7-9月期の純利益が 51.4%減少したと発表するなど各社ともに厳しい状況に立たされている。

ハワイ,1月にデジタルへ移行

ハワイ州では,全米で来年2月に予定されているアナログ放送終了・デジタル移行を1か月繰り上げて,1月15日に行うことになった。HAB(ハワイ放送事業者連盟)が10月14日に明らかにしたもので,2 月に実施した場合,アナログ施設の取り壊し工事が海鳥の巣作りと繁殖に影響を与えるため,前倒しで実施することを決めたと説明している。FCC(米連邦通信委員会)ではこのほかにも,厳寒期の移行を避けるなどの理由があれば,視聴者に事前告知することを条件に,2月17日の90日前からの移行を認めている。

900万世帯以上がデジタル移行に未対応

全米の960万世帯が,来年2月のデジタル移行に備えをしていないことが,10月15日,ニールセン社の調査で明らかになった。それとは別に,1,260 万世帯で衛星やケーブルに接続されていないテレビを1台以上所有していることもわかった。全米の5軒に1軒は,移行への対応が必要なことになる。最も準備が遅れている市場はヒューストンで,未対策世帯は15.8%に上る。報告書によると,低学歴,低所得,ブルーカラーの世帯で未対応が多かった。また,高齢の白人世帯は,ヒスパニック系,アフリカ系,アジア系に比べるとデジタル移行への準備が進んでいることがわかった。

“ペイリン効果”でSNLが高視聴率

10月18日放送のNBCの人気番組『サタデー・ナイト・ライブ(SNL)』に,共和党副大統領候補サラ・ペイリン氏が出演し,ニールセン社によると 1,400万人が番組を視聴,過去14年で最高の視聴率となった。SNLでは,出演者のティナ・フェイがペイリン候補に扮して,記者会見や演説のパロディを放送し,ビデオクリップに数百万のアクセスがあるなど,大変な人気となっていた。この日は,ペイリン候補がSNLのプロデューサーと番組をモニターしたり,フェイとペイリン候補がすれ違うシーンがあるなどスリリングな放送となり,話題を呼んだ。“ペイリン効果”で,SNLは前年同時期に比べて視聴率が 70%以上のびている。