放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

HDテレビ,購入世帯に所得の格差

アメリカの調査会社,Leichman Research Group社がこのほど発表した市場調査結果によると,HD対応型テレビの所有世帯は,6世帯中1世帯の割合と2年前(14世帯に1世帯)と比べて大幅に上昇した。しかし所有率は年収5万ドル以上の世帯で26%に対し,年収5万ドル以下では7% と,所得格差が見られることが明らかになった。同調査ではまた,あと2年余りに迫ったアナログ放送の停止についての認知度が国民の3分の1程度に留まっていることも分かった。

米ABCニュース,中間選挙報道でトップ

06年11月7日に行われた米議会中間選挙の報道で,ABCニュースの特番“Vote 2006”が平均視聴者967万人を獲得しトップとなった。2位はNBCニュース(同700万人),3位がCBSニュース(631万人)だった。 “Vote 2006”は当初予定を30分前倒しして,午後9時半から放送を開始したが,これによって午後10時から放送した他局に対し優位に立ったと見られている。今回の選挙特番(ケーブルテレビ含む)全体の視聴者数は,Nielsen Media Research社によると2,900万人と前回2002年の中間選挙時の2,600万人を大幅に上回った。

VOD市場,10億円規模へ

アメリカでケーブルテレビを中心としたVOD市場が成長を続けている。Kagan Research社は11月13日,06年上半期にケーブルテレビのVODサービスを利用した人は,デジタルケーブル契約者全体の86%にあたる 2,620万人に上るという調査結果を発表した。これによると,2005年のVODサービスによる総売上は7億5,700万ドル(約886億円)で,2006年には11億ドル(約1,290億円)に達し今後も市場の拡大が続くと見込まれている。

TiVo社,ネット動画の検索・再生機能を強化

アメリカのDVR(デジタル録画機)最大手のTiVo 社は11月14日,同社のDVR によって,テレビ番組だけでなくブロードバンド上の動画を検索し,テレビで再生する機能や,家族や友人とホームビデオなどの動画を共有できる機能等,新しい4つの機能を発表した。このうち「Unifi ed Search」は,テレビ番組に加え,ブロードバンド上の動画コンテンツも,同じ検索機能を使って検索しテレビで再生できるという業界初の機能で,来年リリースされる。DVR 市場は,ケーブルテレビや衛星放送事業者の参入により競争が激しくなっており,TiVo 社はこうした新機能で生き残りを図る。

NBC,イラクの現状は内戦と定義

NBC News の報道番組『Today』のキャスター,マット・ラウアーは,11月27日の放送の中で,「NBC News は,慎重に検討した結果,(イラクの現状に関する)定義を変更することが適当だと判断した。イラクでは武装した宗派が政治的支配権を争っており,今や内戦と定義することができる」と述べて,イラクの現状は内戦だ,と定義した。アメリカでは,イラクの現状について,ロサンゼルス・タイムズのみが10月から内戦という表現を使い始めていたが,他のメディアは内戦と呼ぶことには慎重だった。しかし,このNBC の放送の翌28日には,ニューヨーク・タイムズなどの有力紙もこれに追随し始めており,ブッシュ政権に対する圧力となり始めている。

AT&T,IPTVサービスにHDチャンネルを追加

アメリカ最大の通信電話会社AT&T は,11月28日,同社が06年6月からテキサス州で本格運用を始めたIPTV サービス「U-Verse」に,HD チャンネルを加えたと発表した。HD チャンネルは25チャンネルあり,2か月間は無料で,その後は月額10ドルの追加料金で視聴できる。このほかインターネット経由で外出先からも番組録画予約が可能なDVR(デジタル録画機)サービスや,当初の200から300へのチャンネル数の増強など,契約者を集めるための新規サービスも開始。同社ではこうした付加価値を武器に市場を拡大していく方針である。