放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

香港,事件報道過熱への批判高まる

香港で,特異な事件をめぐるメディアの報道がエスカレートし,多くの市民から“人権侵害”と批判されている。香港では3月17日に警察官同士の発砲で2人が死亡する事件が起きたが,容疑者の警察官(死亡)について,5年前の警察官殺害の疑いも出てきたことから,各メディアの報道がエスカレート,容疑者の妻など家族のインタビューを取ろうと追いかけ回し,妻が「そっとしておいて下さい」との声明を出すに至った。さらに大手商業テレビ局ATV は,この容疑者がかつて妻と共に出演したクイズ番組『Who Wants to be a Millionaire?』の再放送を実施,香港市民の7人に1人が見る程の高視聴率を博したが,香港特別行政区政府の放送業務管理局には「容疑者の家族の心情を無視している」などとする1,000件近くの抗議が殺到した。これに対しATV は「視聴者の知る権利に答えるため放送したもので,視聴率獲得が主な目的ではなかった」と弁明した。

台湾でも事件報道過熱が問題に

一方,台湾でも今年に入り事件やスキャンダルを実名で報道された当事者が3人相次いで自殺し,センセーショナルな報道に走るメディアへの批判が高まっている。まず1月には電車内で見知らぬ少女に無理やりキスをした大学生について,一部のメディアが「十年以上の刑になるかも」との誤報を出し,この大学生が自殺した。また3月はじめには,中学校の教師が13歳の生徒と恋愛関係になったとの報道によって教師が自殺,同月下旬には,列車事故で死んだ妻に夫が保険をかけて事故を起こした疑いがあると報道され,この夫が自殺した。メディア関係者の間では,台湾の各メディアが激しい競争の中で「他社よりも先に」という意識に囚われ,刺激的な映像を追い求めたり憶測に基づいて記事を書くことに問題があると指摘されている。

韓国,韓流ドラマの輸出が大幅に増加

韓国放送映像産業振興院が3月14日に発表した韓国放送番組の輸出入現況分析によると,2005年,放送番組の輸出額は前年に比べ72.8% 増え,初めて1億ドルの大台を突破する1億2,350万ドルとなった。ジャンル別ではドラマが輸出全体の92%を占め,輸出先では日本が1位で60.1% であった。

一方,同振興院が3月7日に発表した報告書「日本の韓流ドラマ編成の実態と展望」によると,今年3月2日現在,韓国ドラマを編成している日本の地上テレビは36局で,前年2月の64局に比べほぼ半減,ブームが失速していると分析している。その理由として報告書は,ぺ・ヨンジュンとチェ・ジウ以降目立った韓流スターが現れていないことやドラマの輸出単価大幅増による価格競争力の低下,中国ドラマの追い上げなどを挙げている。

韓国,地上波DMBが一部地下鉄線内で視聴可能に

韓国で昨年12月に始まった移動体向けの無料地上デジタルサービス「地上波デジタル・マルチメディア放送(DMB)」は,地下空間やビル陰などへの送信に必要なギャップフィラーの設置が遅れていたため地下鉄線内での受信ができなかったが,設置工事が一部完成し,3月28日,初めて仁川地下鉄線の車内や駅構内,付属する地下商店街などで視聴が可能になった。首都圏で地上波DMB を実施している6事業者は,ドイツでサッカーのワールドカップが始まる今年6月までにソウル市内と近郊の地下鉄全線にギャップフィラー設置を終えたいとしている。競争相手である有料サービスの衛星DMB は,既に首都圏の地下鉄全線で視聴が可能になっている。

豪アナログTVの停波終了時期,2012年末まで4年延期

オーストラリアのヘレン・クーナン通信相は3月14日,地上テレビのアナログ停波時期について,2010年末から都市部で始め,2012年末までに全土で終了する考えを明らかにした。これまでの移行計画では,2008年12月31日までにデジタル化を完了,2009年1月1日アナログ停波としていたが,最大で4年間の時期延長へと計画を変更した。同国のデジタル受信機販売台数は,2005年末で累計130万台に達したが,全国のテレビ保有世帯の15% にとどまっている。